2024/04/18サーキュラーエコノミー・広域マルチバリュー循環研究会シンポジウム報告

2024年4月21日

2024年4月18日、サーキュラーエコノミー・広域マルチバリュー循環研究会の6周年記念シンポジウムが125名の参加で開催されました。

参加された方々のアンケートです。

サーキュラーエコノミーに対するキーワードを開始時と終了時の二回上げてもらいました。

 

 

基調講演  「リニアな循環から脱し、残存価値の活用へ」
原田幸明 CE-MVC研究会 代表理事

 

簡単な構成

  1. はじめに
    • サーキュラーエコノミーの概念と目的についての紹介。
  2. 現状分析
    • 日本の廃電子機器(WEEE)の回収率とヨーロッパとの比較。
  3. リサイクル社会とカーボンニュートラル
    • 経済活性と新たな循環エネルギー消費についての議論。
  4. 物質フローの改善と資源効率
    • 物質フロー改善の重要性と資源効率の向上について。
  5. エコデザインの進化
    • 2009年から2022年にかけてのエコデザインの変化。
  6. サーキュラーエコノミーの実装
    • サーキュラーエコノミーの具体的な例として自動車リサイクルやプラスチック循環について。
  7. 新たなビジネスモデル
    • 商品ではなくサービスとしての価値提供に焦点を当てたビジネスモデルの提案。
  8. 結論
    • サーキュラーエコノミーを実践するための具体的な行動指針と今後の展望。

全体の要旨

このプレゼンテーションは、従来のリニアな経済モデルからの脱却とサーキュラーエコノミーへの移行に焦点を当てています。これには、廃棄物の削減、資源の効率的な使用、新たなビジネスモデルの採用が含まれます。特に、残存価値の最大化と、製品の製造から消費、廃棄に至るまでの全プロセスを再設計することで、環境への依存を減らし持続可能な経済活動を目指すことが強調されています。さらに、新たな技術やサービスが経済活動にどのように組み込まれるべきかについても議論されており、サーキュラーエコノミーの理念を実際のビジネスと社会の改革にどのように適用できるかについての具体的な方針と例が示されています。

記念講演 「ビジネスにおける生物多様性対応とネイチャーポジテイブの実装」
久保田康裕 琉球大学 理学部 株式会社シンク・ネイチャー

簡単な構成

  1. 自己紹介
    • 久保田康裕の紹介と彼の背景。
  2. なぜ、生物多様性なのか?ネイチャーポジティブとは?
    • 生物多様性の重要性とネイチャーポジティブの概念の説明。
  3. 生物多様性ビッグデータ & AIを活用したネイチャーの価値を見える化
    • テクノロジーを利用して生物多様性の価値を可視化する方法。
  4. ネイチャーポジティブ・ビジネスの実装
    • ネイチャーポジティブなビジネスモデルの具体例と実装戦略。

全体の要旨

久保田氏は、生物多様性の保護と持続可能なビジネス実践の重要性について講演しています。彼は、生物多様性がなぜ重要かという科学的根拠と、企業や社会がこれをどのように利用し、保護すべきかについて説明しています。ビッグデータとAIの活用により、生物多様性の具体的な価値を明確にし、それをビジネスプロセスに統合する方法を提案しています。さらに、ネイチャーポジティブなアプローチを取り入れることで、経済活動を自然と調和させる新しいパラダイムを提唱しています。これは、生物多様性を保護し、同時に経済的な利益を生み出すことを目指すものです。久保田氏は、これらの活動が如何にして地球の自然環境と人間社会の両方に利益をもたらすかを強調しています。

講演 「循環経済・資源効率性原則及び循環経済の最新の国際動向・日本のリーダーシップ」
吉田諭史 環境省 環境再生資源循環局 総務課 国際資源循環企画官

簡単な構成

  1. 概要と主要な結果
    • 循環経済における最新の国際的な取り組みと、G7気候・エネルギー・環境大臣会合の成果の概要。
  2. G7-B7ワークショップ
    • 循環経済および資源効率性原則に関するG7とB7の連携、およびそのワークショップの詳細と成果。
  3. COP28 サイドイベント
    • COP28でのサイドイベントの概要とグローバル循環プロトコルに関する取り組み。
  4. 循環経済の国際ルール形成
    • 循環経済における国際ルールの形成と、それに関連する国際的な協力の強化。
  5. 二国間協力
    • 日本とASEAN諸国との間での電子機器廃棄物処理に関するパートナーシップの詳細。
  6. 第五次循環基本計画
    • 日本の新しい循環基本計画の概要と、それに基づく具体的な取り組み。

全体の要旨

この文書は、循環経済と資源効率性を高めるための国際的な取り組みと、日本がこれらの分野でどのようにリーダーシップをとっているかを詳しく説明しています。特に、G7の会合やCOP28での議論の内容が紹介されており、循環経済の進展に向けた国際社会の合意形成と、それを支える日本の役割が強調されています。文書は、循環経済の推進に必要な国際協力と、具体的な政策や戦略の実施に関する情報を提供しており、持続可能な社会への移行を目指す重要な指針を示しています。

講演 「成長志向型資源自立経済への道」
吉川泰弘 経済産業省 産業技術環境局 資源循環経済課 課長補佐

文書の構成:

  1. 資源循環経済政策の変遷と法改正
    • 過去のリサイクル法から現在のリサイクルに関する法律への移行
    • 1991年から2023年にかけての資源循環経済政策の発展
  2. 資源循環経済の戦略と方向性
    • 成長志向型の資源自律経済戦略の概要
    • サーキュラーエコノミーにおける産官学のパートナーシップの推進
    • 循環経済ビジョン2020とその目標
  3. 世界と日本のグローバル経済社会の変化
    • 世界人口の増加と資源制約の将来展望
    • 廃棄物量の増加と環境問題の深刻化
  4. 経済的目標とサーキュラーエコノミーの市場規模
    • 日本と世界のサーキュラーエコノミー市場の成長予測
    • 経済活動としての循環経済の推進
  5. サーキュラーエコノミーパッケージと具体的な行動計画
    • 持続可能な製品政策の枠組み
    • EUと日本の政策動向と相互の比較
  6. サーキュラーパートナーシップとその目的
    • 産官学連携によるサーキュラーエコノミーの実現
    • サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォームの構築

全体の要旨:

この文書は、日本の資源循環経済戦略とその発展に焦点を当てており、1991年から2023年にかけての政策変遷、法改正、及び循環経済ビジョンの詳細を概説しています。また、サーキュラーエコノミーに向けた具体的な戦略と行動計画、世界と日本の経済的・環境的課題への対応策、そして国内外の市場規模の予測についても触れられています。さらに、産官学のパートナーシップを通じてサーキュラーエコノミーの実現を目指す方策が詳述されており、循環型社会の構築を目指す具体的な施策と目標が提案されています。

念講演(同時翻訳字幕付き) “The emergence of circular business models through business experimentation”,
Prof. Dr Nancy Bocken, Professor in Sustainable Business & Circular Economy,Maastricht Sustainability Institute, School of Business and Economics,Maastrich

構成

  1. サーキュラービジネスモデルの出現と影響
    • 線形経済の問題点としての持続不可能なビジネスモデル、短い製品寿命、価値の破壊について言及。
    • サーキュラービジネスモデルの概念と、それが持続可能な消費にどのように貢献するかが説明されています。
  2. サーキュラービジネスモデルの実験
    • サーキュラービジネスモデルを実地で試験するためのツールと実験ラボについて詳述。
    • 実験は、実際の顧客やステークホルダーとのリアルなコンテキストで行われ、循環的価値提案の実現可能性に関するデータに基づいて学びを深めています。
  3. 未来の展望
    • 循環型ビジネスモデルの将来の発展方向として、法制度の価値の探求や、他の地域でのサーキュラービジネスモデルの出現に焦点を当てることが提案されています。

要旨

文書は、サーキュラービジネスモデルの推進とそれが持続可能な消費に与える影響に注目しています。消費者行動の変容を促すための新しいビジネスモデルのテストと導入に重点を置き、環境への影響を最小限に抑えつつ経済的にも持続可能な方法を模索しています。また、これらのビジネスモデルがどのようにして従来の線形モデルを逸脱し、新たな価値を創造するかについても掘り下げています。

会場の字幕が読みにくかったという声もあるので、Nancy-sanの講演でしめされた具体例を整理しておきます。
『Japan circular business innovation presentation_18 April 2024』に挙げられている企業例として、以下の企業が具体的に取り上げられており、それぞれがサーキュラーエコノミーの典型例としてどのように評価されているかを説明します。

  1. Vitsœ
    • 典型的な特徴: 高価格設定と耐久性
    • 評価される点: 製品の長寿命化を通じて、資源の使用効率を高め、廃棄物を削減。
  2. Philips
    • 典型的な特徴: 製品サービスシステム(PSS)、レンタル、プロダクトアズアサービス
    • 評価される点: 製品を所有せずにサービスとして提供することで、製品の最適利用を実現し、資源循環を促進。
  3. IKEA
    • 典型的な特徴: 買い取りまたは返品および再販
    • 評価される点: 既存の製品を再利用し、消費サイクル内で製品を保持することで資源の延命化を図る。
  4. Canon
    • 典型的な特徴: 買い取りおよび再製造、部品回収、リサイクル
    • 評価される点: 製品の回収と再生産を通じて、製品のライフサイクルを延長し、廃棄物生成を最小限に抑える。

これらの企業は、製品の耐久性を高める、サービス化を進める、資源を回収して再利用するなど、様々な方法でサーキュラーエコノミーを推進しています。それにより、資源の最大限の活用と廃棄物の削済を実現し、サステナビリティの向上に貢献しています。

また、以下は『Japan circular business innovation presentation_18 April 2024』で挙げられている企業の価値創造例です。これらの例は、サーキュラーエコノミーの典型例として評価されています:

  1. Vitsœ(ビッツォー)
    • 耐久性とプレミアム価格: 長期的に使用可能な家具を提供し、消費者が一度購入することで何十年も使用できる製品を提供することで資源を節約。
  2. Chanel(シャネル)
    • サステナビリティとラグジュアリー: 高級品市場においてサステナビリティを重視した製品設計を推進し、ラグジュアリーブランドとしての環境への影響を低減。
  3. ZZ Driggs
    • レンタルとプロダクト アズ ア サービス: 家具のレンタルサービスを通じて、消費者に持続可能な選択肢を提供し、家具の使用率を最大化。
  4. Fernish
    • 家具サブスクリプション: 家具のサブスクリプションモデルを利用して、顧客が短期間使用した後に返却し再利用が可能なシステムを提供。
  5. Philips(フィリップス)
    • プロダクトサービスシステム: 医療機器をはじめとする製品をサービスとして提供し、製品のライフサイクル中の管理と最適化を行うことで全体のリソース使用を抑える。
  6. IKEA(イケア)
    • バイバックおよびリセール: 使用済みの家具を買い取り、修復や再販を通じて製品の寿命を延長。
  7. Caterpillar(キャタピラー)
    • リマニュファクチャリングと部品回収: 建設機械を再製造し、旧機械から部品を回収して新たな製品に再利用。
  8. Canon(キャノン)
    • リマニュファクチャリングとリサイクル: 使用済みのプリンターやカメラを回収し、再製造や材料のリサイクルを通じて新たな製品に生まれ変わらせる。

これらの企業は、製品の耐久性を高める、サービスとしての消費を促進する、資源の回収と再利用を行うなど、様々な方法でサーキュラーエコノミーを推進しています。それにより、資源の最大限の活用と廃棄物の削減を実現し、サステナビリティの向上に貢献しています。

参加企業一欄

(一社)木の総合文化・ウッドレガシー推進協議会
EcoDeNet/SusDI
Herb国際技術士事務所
IGES
JX金属
JX金属戦略技研株式会社
NELIS
NextGirls Free Learning Space
NIMS
NPO法人国際環境政策研究所
RICOH Futures BU
T&Pテクニカ
TCO2株式会社
TOTHENATURE
UBE株式会社
イー・アンド・イー ソリューションズ株式会社
いすゞ自動車株式会社
インフィールドグリーン環境技術研究所
エクサスパートナーズ株式会社
エコスタッフ・ジャパン株式会社
オリックス株式会社
カーレポ株式会社
サステナビリティ日本フォーラム
スウェーデン大使館
ニッコーファインメタルス
パナソニック HD(株)
リコー経済社会研究所
リサイクル共創センター
伊勢商工会議所
一般社団法人 日本経済団体連合会
一般社団法人スマートエネルギー産業振興機構
一般社団法人日本ファインセラミックス協会
影島興産株式会社
化学工業日報
花王株式会社
株式会社 JSC総合研究所
株式会社UACJ
株式会社キャリアパートナーズ
株式会社クボタ
株式会社サエラ
株式会社テクノバ
株式会社ニフコ
株式会社リコー
株式会社レクサー・リサーチ
株式会社晋商ロジスティックス
株式会社島津製作所
株式会社東芝
株式会社豊田中央研究所
㈱鉄リサイクリングリサーチ
環境再生保全機構
岩手大学
国際航業株式会社
国立環境研究所
埼玉大学
三井物産株式会社
三信化工株式会社
三菱電機株式会社
産業技術総合研究所
時事通信社
松田産業
城北埼玉高等学校
積水化学工業(株)
早稲田大学
村上企画
大阪府立環境農林水産総合研究所
中央電気工業株式会社
田中貴金属工業株式会社
電気通信大学
東急総合研究所
東京大学
日産自動車株式会社
日本エシカル推進協議会
日本システムケア株式会社
日本ゼオン株式会社
日本ペイントコーポレートソリューションズ(株)
日本化学品輸出入協会
日本経済新聞社
日本航空
日本生産性本部
日本製鉄株式会社
日本電気株式会社
日本電信電話
白肌研究室
富士フイルムホールディングス株式会社
富士フイルム株式会社
富士大学
富士通株式会社
野村総合研究所

懇親会
NextGirls Free Learning Space
BIPROGY株式会社
EcoDeNet/SusDI
NIMS
NPO法人国際環境政策研究所
TCO2株式会社
いすゞ自動車株式会社
エコスタッフ・ジャパン株式会社
カーレポ株式会社
サステナビリティ日本フォーラム
リコー経済社会研究所
一般社団法人スマートエネルギー産業振興機構
河田フェザー株式会社
株式会社 JSC総合研究所
株式会社WIN&WIN
株式会社サエラ
株式会社ニフコ
株式会社レクサー・リサーチ
株式会社晋商ロジスティックス
株式会社島津製作所
元東京理科大学
高周波熱錬株式会社
合同会社オフィス西田
国際航業株式会社
狛江市教育委員会地域学校協働本部
埼玉大学
三井物産株式会社
三信化工株式会社
産業技術総合研究所
東京大学
日本エシカル推進協議会
日本ゼオン株式会社
日本化学工業協会
日本製鉄株式会社
富士フイルムホールディングス株式会社
富士フイルム株式会社
富士通
野村総合研究所

会場で寄せられた声や意見です。次回の参考にさせていただきます。

 

なお、先日(4/4) MIRU主催で行われた サーキュラーエコノミーシンポジウム の内容紹介も 他ベージにアップしておりますのでご参考にしてください

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