「環境負荷物質の考え方」 中村崇氏 2020 5/27

コラム紹介

中村崇氏〈東北大学名誉教授〉

 

『環境負荷物質の考え方』、ということで今日はお話をします。”循環使用した時の「環境負荷の考え方」”というのは、これはずいぶん昔に話したことがあるんですけど、CE(サーキュラーエコノミー)(*1)になってからは、こういう話をしていないんですね。

そういうことで、ちょっとお話をさせていただきます。

「環境問題の変遷」って書いてますけど、いろいろなものがありますよね、ということで

物質を考えるとですね、何をこういうの(環境負荷物質)を定義するか、っていうのが問題なんですけれど、”直接、健康に被害を与える「元素」「物質」がありますね”、とか、”直接的ではないんですけれども、「環境ホルモン」として問題がありますね”、とかいろいろあるんだと思います。

それで、“何を一体ターゲットにするべきか”、というか、“問題として考えるか?”というのが、あるんだと思います。

この中で、「CO2」っていうのが、結構微妙な物質でして、”直接的な健康被害はありませんが、今や、「最大のリスク物質の一つ」”、かな?ということに、まあ、考えられます。

「環境規制元素」に関していうと、昔々ですね、欧州に〈ELV指令〉(*2)があって、これがほとんど〈RoHS(ローズ)〉(*3)と一緒ですので、まあ、こっちの方を出したんですけど、まあ、こういうのが引っかかってまして、それぞれ「閾値(しきいち)」がありまして、これ、どんどん変化をしていきます。

ただし、ここにひとつポイントがあってですね、この場合は「例外物質があります」、「例外対象物がありまして」ということになっています。

今日、ちょっとこの話を、ぜひ、皆さんに議論していただきたいんですけども。

これも大昔から使っているんですけども”「トレードオフ」が必ず生じます”、と。”廃棄物の毒性から発生する環境へのインパクト”と、”それを抑えるために、「エネルギー使用」“がありますので、必ず、こういう、”「エネルギー」とトレードオフ”。今や、その「エネルギー」っていうのが「CO2」となりますから、”「CO2」とのトレードオフ” が、起きてしまいます。

“これをどう考えるか?”、というのがひとつの問題で、ここはですね、いろんなものを今までやったんですけど、いろんなものをここに書いて、ここにCO2書いて、いろいろこういうことが起こるよね、と。技術的には、これ、全体に下げるということをやんなきゃいけないんですけど、必ずトレードオフが起こります、と。

それで、「両方ミニマムにする必要があります」、ということを、いつも話しをしています。

もうひとつ、これは、大昔、中西先生?のパワポだったんじゃないか?と思いますけど、まあ、これ、よく言われる「化学物質の有害性」っていうのは、「その有害性そのもの」と、「暴露(*4)の確率」。これがリスクですよね、と。

と、そういう話が出ていて、

これをですね、20年とは言いませんが、10何年前かな?ちょうど、〈WEEE(ウィー)〉(*5)とか〈RoHS(ローズ)〉がワーワー言い始める頃に、あちこちで話をしたことがあります。

特にちょっと、「鉛はんだ」のことに関して、電子機器等で「鉛はんだを禁止します」と。

その当時ですね、今はそうでもないですけれども、当時はですね、実は「散弾銃」がまだ禁止されてなかったんです。鉛だったんです。はっきりいうと鉛合金ですけど。まあこれヨーロッパの人たちが狩猟民族ですから、こういうの好きですから、これ、規制がなかったんですね。

今は規制がありますから、こういうことではないんですけども、こういう問題も起こりえるっていうか、その当時は問題があった、と。

ここで、今日これについての、皆さんから意見が欲しいというか、「元素規制の考え方」で、“有害性があったら使用しない”というのが〈RoHS(ローズ)〉、〈WEEE(ウィー)〉。

日本も全部それで、「水銀条約」もみんなそれになってるんですけど。まあ、そのような形になってます、と。

「エネルギー・鉱物資源の枯渇」とかですね、「CO2の問題」があって、”CE(サーキュラーエコノミー)を促進すると、変わるんではないか?”と。つまり「暴露・拡散リスクを考えて使用」、「暴露・拡散防止システムを確立した安心」ということになる。

そして、その時に、“「科学的知見に基づいたリスク評価」が必要じゃないですかね?”ということで。

この図がですね、なかなかみんなに理解されずにですね。

まあ、これは私が勝手に、昔々考えた、これは2010年より前に考えて出してるんですよ、確か。だから、こういう横軸は、このような数字になってるんですけど。

だんだんですね「環境規制がない状態」から「環境規制を入れてきて」、それでまあ、「RoHS(ローズ)とかREACH(リーチ)(*6)で、ちゃんとコントロールする」と。ただし、今だとCE(サーキュラーエコノミー)ですよね。

まあともかく、“「新しいシステムを導入して」、「科学的根拠でリスク評価」”、「暴露」まで考えたリスク評価。そして、「循環」をきれいにやればですね、そう、一般的には、”簡単には、ですね、暴露しないんじゃないか”、と。

“そういう社会に行った方が、トータルとした環境にはいいんじゃないか?”ということを、その当時、思って、こういう話をしているんですけれど、まあ、「した」という意味ですね。

勿論、そうならずにですね、規制としては、どんどん厳しい方向に今、行っている、と。

それで、その時に「循環」という考え方が、導入されていないんですよ。そこらへんを”どういうふうに考えるか?”ということを、今日、皆さんに議論していただければ、と、思います。

この後ですね、例えば「ファーストソーラー」(*7)が”「CdTe(カドテル)」(*8)も集中管理をして、きちっと「暴露」しないようにしますから”ということで、売り出したわけですよね。

そういうことがあるわけで、そういう考え方は一部は導入されているようなところもあるし、これが、なかなか「どういう基準で」「どういうふうになるか」っていうのを具体的に持ってるのは難しいんですけれども、まあ、そういうことがあるので、“CEなんかが導入されてきたら、この辺の考え方そのものも、それに対応して考えてもいいのではないか”、ということを、今日、皆さんに議論していただいて、私も、もう少しこれを深めるのか、もうこれは、”やっぱりちょっと無理だったよね”、と思うのか、含めてですね、考えたいなと思って、この話をさせていただきました。

今日は、私は2回目なんですけれども、最初に「エネルギー」の話をしたのは、ここがあったんですよ。

つまり、本来このように、”循環型社会を作る”とか、”CE入れる”とか言っても、これ基本的に「環境対応を良くしようとしている」わけで、その時に、「エネルギー問題」とこういう「環境非制限層」をきちっとコントロールする、というのが、必ず出てくるわけですから、そこで結びつけなきゃいけないんじゃないか、ということで、それも含めて、話を議論をしていただければいいかな、と思っています。

 

(*1)CE(サーキュラーエコノミー)

サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環分野の 取組について

〈経済産業省・環境省〉

http://www.env.go.jp/recycle/mat02.pdf

 

(*2)ELV指令

[使用済み車両に関する2000年9月18日の欧州議会と欧州連合理事会の指令]

EU ELV指令とは|リズム株式会社へ
タブ端子等精密プレス製品から端子台、テーピング端子、表面実装部品などの省力化製品まで、お客様の幅広いご要望に応え、信頼あるパートナーとしての企業を目指しています。|リズム株式会社

 

(*3)RoHS:Restriction of Hazardous Substances Directive

(危険物質に関する制限令)

JETROサイト内

RoHS(特定有害物質使用制限)指令の概要:EU

RoHS(特定有害物質使用制限)指令の概要:EU | 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る

 

Wikipedia

特定有害物質使用制限指令 - Wikipedia

 

〈参考〉

(*4)暴露と暴露

暴露と曝露 - きょうの校閲談話室
オンブズマン(ombudsman)て当初、しかも比較的長きにわたって、「お助けマン的な何か」と思っていたなぁ・・・。オンブする人的な。滅茶苦茶な発想です。5月18日の「漢字表記の統一」の日記()で、 ・「暴露/曝露」(後者がベターですよね?)と書いていましたが、訂正。■薬剤の体内投与の場合→「曝露」 ■その他の場合(化...

 

(*5)WEEE(ウィー)

WEEE(電気電子廃棄物)指令の概要:EU

〈JETRO〉

WEEE(電気電子廃棄物)指令の概要:EU | 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る

 

(*6)REACH(化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する規則)

REACH関連情報〈環境省〉

REACH関連情報

 

REACH規則(リーチ規則)https://sustainablejapan.jp/2017/08/05/reach-regulation/27718

 

(*7)ファーストソーラー

Overview
First Solar has developed, financed, engineered, constructed and currently operates many of the world’s largest grid-connected PV power plants

 

(*8)CdTe(カドテル)

CdTe太陽電池 | 太陽光発電の仕組み

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