新刊紹介『リサイクルと世界経済―貿易と環境保護は両立できるか』
新刊紹介
小島道一『リサイクルと世界経済―貿易と環境保護は両立できるか』中公新書、2018年5月。
本書は、資源として再生利用するという意味でのリサイクルだけでなく、リユースされる中古品や再製造品についても取り上げ、その現状を紹介するとともに、適切な国際リサイクルに向けて取り組むべきことを論じたものである。第1章と第2章で、中古品や再生資源の貿易の状況、どのように再使用、再生利用されているかを紹介している。そのうえで、第3章で越境移動に伴う問題をとりあげ、第4章で、国際リサイクルをとりまく国際ルールについて紹介している。第5章および終章で、適切な国際リサイクルに向けた国際交渉や今後の方向性について論じている。
2017年7月、中国が再生資源の輸入制限を強化することを発表して以降、国際リサイクルへの関心が高まってきている。日本でもテレビ番組などで取り上げられるようになってきた。本書は、国際リサイクルへの関心が高まるなかで、刊行することができたが、構想段階では、全く想定していなかった。本書は、2016年春に企画し、同年夏に執筆を開始したものであり、中国の輸入規制の強化を予想して書いていたわけではない。原稿の執筆が遅れたことで、中国の規制強化の影響についても、触れることができた。
広域マルチバリュー循環のあり方を考えるうえで、参考にしていただければ幸いである。
目次
- 国境を越えてリユースされる中古品
- 国境を越えてリサイクルされる再生資源
- 中古品や再生資源の越境移動にともなう問題
- 国際リサイクルに関する国際ルール
- 適切な国際リサイクルに向けて
終章 国際リサイクルの将来展望
小島道一(東アジア・アセアン経済研究センター、シニア・エコノミスト。2018年3月から、日本貿易振興機構アジア経済研究所より出向中)
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