我が国におけるサーキュラー・エコノミーの推進に関する提言2020

2020年11月4日

MVC研究会では提言委員会をつくり、以下の提言をしています。

提言 日本語版

提言 英語版(暫定)

我が国におけるサーキュラー・エコノミーの推進に関する提言

 

サーキュラーエコノミー・広域マルチバリュー循環研究会

提言委員会

2020年6月12日

 

サーキュラー・エコノミーは持続可能でレジリエントな経済活動を生み出す新たな社会的取り組みであり、それは資源効率の改善をもたらし気候変動をはじめとする地球環境問題の改善にもつながる新しい経済・社会のトランジションにもつながるものである。このサーキュラー・エコノミーへの転換を我が国でも推し進めていくために、循環から製造、流通、消費を含む様々な経済主体およびその活動を支える政府、自治体に対して、サーキュラー・エコノミーのより一層の普及を目指して本研究会から提言を行うものである。なお、今回の提言は第一弾であり、サーキュラー・エコノミー推進のスコープを示すものであり、ひきつづきアクションプラン等の提言を行う予定である。

 

  1. 経済と環境の融合を高め、両者の持続可能性を維持しつつ経済成長を目指すビジネスモデルとしてのサーキュラー・エコノミーサーキュラー・エコノミーは、経済成長と資源消費の相互連関の関係を切り離す政策ツールであり、サーキュラー・エコノミー型のビジネスは、その政策課題に対して産業界が提供するソリューションである。いまやサーキュラー・エコノミーにもとずくビジネスモデルの創出と実践は産業界における持続可能でレジリエントな産業構造へと向かうグローバルなソリューション・レースとなりつつある。

 

サーキュラー・エコノミーは人間経済圏の中で必然的に求められる物質の循環の中から最大限の価値を引き出そうとするビジネスモデルである。従来の薄利多売・大量生産のビジネスモデルでは製品としてのモノにすべてをパッケージして商品化し商品の「量」として捌いていたビジネス行為に対し、そこからサービス、機能、感性等を抽出しより大きな価値を生み出すプロセスを含んだビジネスへの転換である。

 

使用済みの製品にもリサイクル原料としての資源価値だけでなく、部品や部材としての再使用価値、修理対象としての価値などが多く残存している。さらに製品利用により生み出される価値を消費者個人の所有にゆだねずシェアリングやサービサイジングを行うことによりさらに大きな価値が引き出されることも明らかになってきている。

 

そのために、サーキュラー・エコノミーは顧客中心型の機能サービスビジネスへの転換を急速に進めるものとなる。モノに縛られてしか機能を売ることができなかった時代から、顧客の欲しがる機能をより的確かつ効果的に販売するビジネスが成立する。顧客は新機能を得るために旧機能を捨てる必要はなくなりアップグレードと継続的なサービスを得ることができる。

物質はそのような高い付加価値を与える機能の媒体として効果的に循環され天然資源への負荷が大きく抑えられる。そして「量」から技術の「質」とその集約力、それに基づく信頼性のブランド化へとすすんできた高度化へのモノづくりの方向性が一気に加速される。

 

このようなサーキュラー・エコノミーを支える3要素が、物質循環、デジタル・テクノロジー、サービサイジングである。物質循環はリペア、リファービッシュを含めてサーキュラー・エコノミーのフィジカルな基盤を形成する。サービサイジングはシェアリング、リユース等を通じてより付加価値の高い機能を消費者のもとに現出する。デジタル・テクノロジーは、情報交流をベースにそれらを結び付けるプラットフォームを形成するのみならず、AI等と結びついて潜在的価値の発見や新たな価値の創出を可能とする。

 

 

  1. サーキュラー・エコノミーはビジネス観の転換をもとめる

サーキュラー。エコノミーに基づく持続可能でレジリエントな社会・経済への転換を進めるためには、多くの分野で旧来型のビジネス観の転換が求められる。「モノを作って売っている産業」は、モノに技術を集約し、その集約された技術により生み出される機能をモノに乗せて売っているのであり、モノを売ることで消費者との関係が終わるのではなく、モノの売買は継続的な技術サービスの入り口であるととらえることができる。また、その技術サービスの高さがブランドとして持続的な顧客関係を生み出す機会になるととらえることができる。

 

リサイクル産業は廃棄物から安価な2次原料を提供する産業としての位置づけから、使用済み製品を製造メーカーと連携して再利用可能な形に回復する為のリマンやリペアへ繋ぐハブとしての役割や素材メーカーへ従来より高純度で単体選別された2次原料を供給することにより多くの天然資源を置き換えることが可能な、あらたな素材産業となる。さらに、消費行為や生活の変化で不可避的に発生する不要物を収集・再分配する物流サービスを提供する新たな産業を形成することもできる。これらによりリサイクル産業は、省CO₂かつマテリアルフローコストを最少化へ貢献する産業へ転換することができる。

 

もちろん、物質循環はリサイクル業だけが担うものではない。循環において、特にSDGsの12番のつくる責任、つかう責任は極めて重要であり、循環を経済的に可能とする全バリューチェーンのビジネス上の取り組みと政策レベルの取り組みの両方が不可欠である。そうした循環の基礎を、経済的に円満な形で整備し、支援することがサーキュラーエコノミー政策の重要なポイントのひとつとなる。

 

これらの要素を、従来から知られるMポーターのバリューチェーンすなわち、デマンドチェーン、エンジニアリングチェーン、サプライチェーン、サービスチェーンとしてまとめてみた。サーキュラー・エコノミーへの転換は全バリューチェーンを対象に、またそれらを横断的に見る思考により進められる。

 

  1. 残存するサーキュラー・エコノミーへの転換バリアを克服しよう

 

サーキュラー・エコノミーへの転換には、数多くのバリアが残存している。この提言では第一段階として、それらのバリアを整理してみた。CE-MVC研究会提言委員会では引き続ききバリアの分析を通じてその打破の方向を提案していく予定である。

ビジネスモデル転換におけるデマンドチェーンのバリアと原因と対策

ビジネスモデル転換におけるエンジニアリングチェーンのバリアと原因と対策

ビジネスモデル転換におけるサプライチェーンのバリアと原因と対策

ビジネスモデル転換におけるサービスチェーンのバリアと原因と対策

 

Posted by hal