原田幸明氏〈物質・材料研究機構 名誉研究員 サーキュラー・エコノミー&広域マルチバリュー循環研究会 代表〉
はいどうも皆さんおはようございます。
6月になりまして、まあ、いろいろ世の中も動き出すので、どれ位の方々が参加するのかな?と、楽しみというか、不安もあって見てまいりましたけれど、まあそれなりに多くの方々が参加していただいてどうもありがとうございます。
今日はですね、人には ”自分の悩んでることはできるだけきちんと整理してから喋れ”、っていうふうに言っているんですけれど、まあ、ちょっと今からの進め方もありますので、少し、今現在どのようなことを考えながらですね、この「談論風爽 on zoom」っていうのを始めたかっていうふうなお話をしてですね、まあ皆さんのご意見も受けていきたいと思っております。
まず、画面の共有をさせてください。
まずこういう話していく上で、実は、いくつか「私のやってきた取り組み」っていうものでちょっといろいろ、障害というか、ギャップがあるよな、と思っていることをちょっとお話ししたいと思います。
まず一つはこれですね。皆さんご存知の。まあどうなのか分かりませんけど、「東京オリンピックのメダル」でございまして、リサイクルで「urban minedメダル」(*1)ということで、一応、これ集め、”成功”という形になってます。
ただ、私としてみればかなり不満がありましてですね、結局、講演会なんかで聞いてみても、実際にやった人って1%、100人いて1人いるかどうななんですね。そして、もっと問題なのはですね、「この都市鉱山メダルからリサイクルでできること知ってますか?」、と聞いてみると、”5%しか認知されていない”。5%って何かっていうとですね、これ”「小型化電離サイクル」があるってことを知っている人”の数とほぼ同じなんですよね。結局その枠からですね、広がってないんですね。
それと、いくつかありまして、まあ今日はちょっと本題ではないから、(本題についての話を)始めますけど、”コマーシャリズムのバリア”って物凄く感じました。やはり、オリンピックはコマーシャリズムに毒されているっていうことで、トップダウンを押さえますし、ボトムアップも抑えるというかですね、まあ”余分なことはするな!”というふうなこともかなりあります。
そういうのはありますけど、今日の主題ではないのでこれはやりません。
それで、実際動いておりますと、“一面型のギャップ”要するに〈目的〉よりも〈procedure(手段、手順、手続き等)〉を重視していく。”広がり”っていうのが中々できなくて、要するに、”紹介していく”みたいな形でものは動いていくんですけどね。具体的にはですね、例えば自治体なんかは積極的に取り組んでくれるところがありますけれど、”その〈procedure〉を進ませばいい”、っていう形で、まあ、私は、これを「帳面消し型」って呼んでるんですけど、”まあ、これやったよ”っていう形での取り組みに終わらせてしまう。その中でどうしても広がりが大きく伸びていかない。
そして、さらにですね、”継続のギャップ” で、新たな行動主体が中々形成されないんですね。要するに、やっていって、話が行くと「分かったよ」って言う人は増えますけれど、そこから動いてくるっていう人っていうのは、まあもちろん多くの方々がいますけれど、なかなかですね、”さらにもう一歩もう一歩”っていうところで広がりがない。
そう言う意味で言うと、「なぜ広がりがないか」というところでも関係しますけれど、今ね、”「遊び」が許されない時代” なんですね。ですから、例えばですね、私はLCA学会で”このようなことやってますよ”って言ってカードを配って行ったんですけれど、その後全く応答が無いです。ああいうところでも。
要するに、”ちょっと遊んでみる”っていう、脇目が中々振れないんですよね。だから、まあ、こと関して、”起動のギャップ”がある、ということですね。
具体的に、例えばどういうことやってるかというと、こういうふうにですね、これはインターネット署名ですね。中にはこういうふうにいろいろ動いてくださる方もおられました。早稲田の学生さんなんですけれど。これはね。署名もやりましたし。
それから「クラウドファンディング」。これもですね、集めるためのプロセスとして、”集めるためのバッグがいるんじゃないか”、とかこういうアイデアを出す、と。もちろん、こういう方々、一生懸命やって下さいましたけど、それから先の、”もう一歩の広がり”っていうのがなかなかできないんですね。
言うならば、この、今のですね、「目的型のコミュニケーション」って、ネット利用成功例って日本にはなかなか少ないんじゃないかと思うんですね。まあ今流行りの「拡大再生産係数」、ほぼ、”nearly1” ですね。要するに、ここからネズミ算的に行かない、なかなか。
要するに”「いいね」とかの共感系”。ただ食べ物なんかで、ワーっと広がるわけですね。又、何なん”「だって」っていう、こういう情報系”。”トイレットペーパーが無くなりそうだって”、っていうガセネタがあるよ、なんていうのは広がるわけですよね。あと、一番ネット系で多いのは、こういう”ネト〇〇”って言われる方々で、”だよね!”、っていうやつですね。”あいつはおかしい”、”そうだよね”。そして、ここら辺のいわゆる「共感系」っていうのは組織できるわけだけれど、いまひとつ、「ネットを利用した形のコミュニケーション」っていうのはうまくできてないな、と。
こういうネットにかける、っていうのと同時に、別のアプローチも一応やってるんで少し述べさせていただきますと、
これ、3.11の東北震災福島事故に対してですね、このようなこと、「技術の医者」とていうのを、こういうことをやりましょうっていうふうなことをいろいろやって、いくつか実践したわけなんですけど、やはり、そういう中でもですね、別の形でのギャップっていうのを感じています。
例えば、これ何かっていうと、これはですね、当時、ちょうど、「地デジ」、覚えてます?「地デジ」っていう言葉、だいぶ皆さんも忘れられてるんじゃないかと思いますけど、地デジがですね、要するに、”デジタル化する”っていうところで、まあ、[ブラウン管のカレット]が多量に余ると。
で、これと、これはですね、鉛が入ってるんで、これを「放射線のバリア」にうまく使えばいいんじゃないか、というふうなことを提案してまして、こちらは、割とですね、ネットでは支持があって、twitterとか何とかでも、よく皆さん引用してくれたんですけれど、これ実際に進めていきますとですね、すごいいっぱいの壁にぶつかりまして。
まず最初に、『たてまえの壁』っていうのがありましてね、これ一体何かっていうと、実は一番最初に[ブラウン管カレット]を持ち込んでいる家電協にちょっと申し入れたんですけど、”いや〔ブラウン管カレット]は余ってないはずだ!”と。”無いものは無いのだ!”本当は余ってる。まあ、これ、建前があるんですよ。この建前があってこれうまくいかない。
『代替比較の壁』(製造)。又、一応、これは清水建設さんが取り込んできて、ちょっと試験なんかやってきてるんですけど、そうすると、今使っているものと、そのまま置き換えたい。そうすると、特別仕様プラントになる。そうするととコストがかかる、と。だから特別にはできない、となった。
そのような状態の中で、これ、実は地域のプレキャストコンクリート組合、東北の方々が、”是非東北の力で貢献したい”、っていうんでこの特別仕様プラント、この部分は克服して、ものは作ることができたんです。
ただ、最悪の事態を想定した対応が求められてくる。『リスク懸念の壁』がくるわけです。何かって言うと、”鉛が漏出しないか”、ですとか、”壊れないか”ですとか、また、”中の放射性が大丈夫なのか”、とかいろいろ出てくるわけですね。
そして、そこでも技術的にクリアしていきますと、今度はですね、『代替比較の壁』(使用)が出てきたわけです。”今はね、フレコンバッグでやっているんだ。それ以上の機能を求めてないよ”、”一体どうするんだ”と。
そして、それに対して、いや、いろいろ説明もしていきましてですね、これ日付書いてありますけど、そうすると今度はですね、『お墨付きの壁』”どこも使ってない”、”誰も使って良いと言っていない”、”お墨付きが無いよ”、と言われるんです。まあ、こうしてる内に、ここら辺くたびれてきましてですね、最終的にこの『コストの壁』を乗り越えることができない、という状態になってまいりまして、まあ物事は進まない。
こういうことをですね、やってきて。 要するに、”リスクをいかに管理するか”、ではなく、”リスクなしでベネフィットを求めてる”、っていう流れがものすごくあるわけですね。
同じようなこともですね、この「[ヒ素]に対する吸着剤」というのを開発して、いろいろ動いたこともあるんですけれど、
『スクリーニングの壁』
この場合もですね、まずこの『スクリーニング』っていうのはどういうことかって言うと、「現在の除去プラント設計基準」、”そこでのコストパフォーマンス”、この部分でスクリーニングされるわけですね。で、”この上に合致してない”、と。
『近視眼の壁』
それでは、”じゃあ、どういう性能があるか出しなさい”、って言った場合に、「現在の状況でできる評価試験」に対し、「付加的な機能」も持ってるわけですね、新しい技術開発っていうのは。その部分に対して「評価試験方法が無い」ということによってこれ跳ね除けられますね。
『環境ビジネスの壁』
そして、さらに、今の、”既存のビジネス”っていうのは存在してて、既参入者の権益っていうのがある。それがですね、特に、こういう環境関係は、”臭いものには蓋をする”という形のものが非常に多いですね。先ほどの一番最初にあった「無いものあるもの」、「あっていけないものは”無い”という論理」の中で割とこういう方々がおられるわけですね。ですから、今のコロナの状況を見てて、非常に、私は痛感するのは、あの”現場の開発してる方々”、ここでかなり苦労しておられるのかな?、と。まあ、このような壁がいろいろある中でですね、だいぶ、いろいろ見てくると、
たまたま、ちょうどその頃、アメリカでは、少しDOE(アメリカ合衆国エネルギー省)(*2)のプロジェクトの審査なんかもやらせてもらったんですけど、彼らっていうのは「トップのマネージメントを評価」するんですね。トップが、一体 ”どういう技術を”、”どうやって”、”どう作って”、”全体としてマネージメントしてるか”。
私が「個別の技術」に対して質問したら、すごく冷たい目で見られて、”個別の技術がどうか”っていうのは、”トップがどういう人を集めてくるか”にかかってくるので、”トップが何を考えてるかを審議するんだ”、というわけです。
それに対して、日本の場合でやりますとですね、”「個別の技術」そこにフィットして入り込むか”という、”ジグゾーパズルの絵をはめこめるようなことができるか”というところで見ていく。
まあこういうところがですね、やはり、アメリカの場合、”全体として変える”ということが評価されるんですけど、日本の場合は”個別のものにしがみついて、しがみついたものをどうやっていくか”、っていうところ。この中にうまく入り込むようなものが求められる。まあ、こういうふうなことがですね、ずっとこの間感じてきているわけです。
まあ、そういう中で、「世界(世間)を変えるためにどうするか」というと、”粘り強く進める”、”システムをつくる”、”力でねじ伏せる”。まあ、こういうことをですね、その当時、言ってたんですけど、まあ、今日は特にこの「仲間味方を増やす」という点で、この〈ネット〉って使えるんじゃないかと。
要するに、Zoom等の”テレ・コミュニケーションはバリアを崩してギャップを埋めるプラットフォームを形成できるんじゃないか”と、いうふうなことで、こういう取り組みをやってるわけです。
テレ・コミュで”容易にできること”と”できないこと”があると。
「距離ギャップの克服」、「時間バリアの克服(タイムシェアリングですね。時間の割き方)」、それから「発言のしやすさ(guestからat homeな感覚でできる)」。「フラットな参加」ができる。「双方向性」。
こういうのがありますけど、「目的型のコミュニケーションに欠きやすい。(要するに予想外の出会いが少ない)」、「参加者同士の触れ合いの弱さがある」。あとですね、一番、私が言いたいのは「だよね」”集まった人間が他のものを批判して「だよね」で終わってしまう件”、でですね、こうすると広がり出てこないんですね。そういう意味では、「スクランブルが必要」なんじゃないかと思っております。
それで、この絵は何かというとですね、(これだいぶ汚いですけど)、これ「ええじゃないか」(*3)ですね。フランスは「バスティーユ襲撃」(*4)なんですけど、日本は「ええじゃないか」なんですよね。
じゃあ、ネットコミュニケーションが、今、「ええじゃないか」を準備できるか?って考えてみると、できないんですね。「バスチーユ襲撃」の真似はあの「中東の春」とか何かでありましたけれど。まあここら辺のもやらなければいけない。
そうしてくると、このSDGsって、皆さん、”なんで17の目標掲げてんの?”そういうふうに考えるとですね、ここで、やはり”いろいろな考え方があって””いろいろな人が行動できる”。そして、”全てのステークホルダーが行動できる”っていうことがですね、今、この国連の掲げてる目標の中の一つの積極的な要旨としてあるわけですね。それを我々は分かっているんだろうかと、ね。
下側にあるように、これ国連です。聴きに行ったんですけど、”ナマケモノにもできるアクションガイド”なんていうのを掲げてるわけですね。
で、やはりこの「多様性」っていうものをものすごく意識してる。ということは、我々はですね、こうSDGsって目標があったらですね、まあ学んでですね、今頑張ってるんですね、一生懸命。ここの連携がなかなかできてない。
そして、”多様さの認識”っていうのはメディアなんかで作られてるんですけど、そこです。そして、”多様なものが相互に作用し合い、前に進むようなシステム”、つまり、こういったものを作っていく必要があるんじゃないかと。
で、まあそういう意味でですね、今までの話なんかは、皆さんの意見なんか見ましてですね、やはり軸足が皆さんそれぞれあるわけですね。
「現状分析してる人」もあり、「リスクマネージメントシステム」あり、「技術開発している人」もあり、「個人の実践」、「地方にもってく人」もある。で、アプローチの仕方もですね、「考え方をいう人」、「啓発を問題にする人」、「実践こそ問題だという人」、「まず、俺たちが技術革新で応えられないか」、「いや総合力だ」と。
やはり、これがですね、”全部がミックスできるような”、そういうふうな取り組みをですね、創っていく必要があるんじゃないかということで、例えばこの『on home SDGs Plaza』みたいなですね、こういう”ミックスチャー”というものを今から創っていける、そういう取り組みとしてやっていきたいな、と思って、やっているということで、皆さんの意見も聞きたく、ちょうど、まあ一月経ったというところで、こういう問題を提起した、ということです。
一応これからの6月、だいぶこういうふうにですね、皆さんの予定も入ってきておりますので、この、私の”ギャップ、バリアを克服するための一つの進め方”としての『談論風爽 on Zoom』ですね、皆さんの意見とか、それからテレ・コミュニケーションのあり方についての意見なんかをですね、ここで出していただければというふうに思っております。
(*1)Urban mine
都市鉱山
Urban mining to recycle critical metals in electric products
Kohmei Halada
http://www.nims.go.jp/genso/lecture/0ej00700000030pw-att/0ej00700000034on.pdf
(*2)DOE(United States Department of Energy)
アメリカ合衆国エネルギー省
(*3)ええじゃないか
コトバンク
(*4)バスティーユ襲撃
コトバンク
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