リサイクルのフロー
リサイクルのプロセスフローを作ってみました。
説明は以下のようになります。
まず左上、使用済み製品と工場屑がある。使用済み製品は消費者の手元で分別されリサイクルに出されたものが集められる。工場屑のほうが素性のわかったものがまとまって集まるために現行のシステムでは処理しやすい。この回収品が解体され再使用可能な部品類、廃棄すべきもの、そしてリサイクル対象(recyclate)に選別(separation)が行われる。Recyclate(リサイクル対象物)は構成素材別の特長を維持・分別されやすいように一般的に破砕され、成分に注目したsortingがなされる。これは天然鉱山でいう選鉱(benefication:「役立つようにすること」)に対応しえられる有価物は都市鉱石と呼ぶに値する。この後一般に二次製錬と呼ばれるプロセスになるが、不要物や鉄分などの非目的物が化学的に分離され一部は複製生物になる。さらに目的物が抽出されるが必ず不純物を包含しておりそれが除去される。こうして得られたものが二次資源であるが、汎用金属として市場に出す場合がほとんどで、ハイテク原料として循環的に使用されるには忌避物質を高純度で除去する工程が必要となる。
特に、悩ましいのは、separation とsorting です。英語的には separationは 機械的分離から融体中の分離まで含まれており、sortingは類別化するという行為であり、厳密には benefication (有価物化する)という行為が、decompose (解体) して sort (分類) し、その結果を用いて separate (分離)される ということになると思います。 となると図のように 別のプロセスとして書くのはまずいということなのですが、うまくこの段階を 説明できる表記方法はないものでしょうか。
コメントを期待します。
ディスカッション
コメント一覧
討論の活性化のために投稿します。
分別、選別の日常的な用例としては、(主に消費者などの)排出元が手で行うのが分別、(おもに機械で)プラントで行うのが選別、が多いかと思いますが、わざわざ「手選別」という言葉があり、これは消費者には一般には適用されないと思います。分別の場合には、必ずしも欲しいものを「選」んでいるわけではなく、その後の処理が適切になるように分けるところにルーツがあるわけです。「ふんべつ」という同字類音多義語とも少し意味が重なるところがありそうです。有害物を分けることも分別の重要な意義ですが、選別はこの意味でも使われているでしょうか? 辞書では、「あるものを他のものよりすぐれているとして区別すること。」という意味も書かれており、ここが分別と選別とを区別する意義ではないでしょうか。
議論の中でも出できていますが、「用語」の問題から考えていくと、視点や歴史の違いや多様性の問題に行き当たり、だれもが満足する表現は難しくなると思います。
このような議論は、用語の問題ではなく、どのような機能を持つサブシステムの連鎖としてシステムを記述しているか、で見ていくべきではないでしょうか。
まずリサイクルというサブシステム自体が何を行っているかというと、不要物と資源化可能物の分離です。A→B+C とすると A 回収物、 B 資源化可能物、C 不要物 となります。 金属、ガラス、プラ、紙といった 再資源化側から見たリサイクルはこれでよいのですが、自動車、家電、衣類、などの製品リサイクルと言う観点からは、リユースもしくは部品リユース可能なパーツの分離・取り出しがはいります。
A→B+C+D で Dが リユース可能部品です。これにより解体・破砕の程度も違ってきます。ということで、D リユース可能物の取り出しがある段階と、あとは 再資源化のための分離・濃縮に特化する部分に分けるのが適当と判断しました。
図の上が A→ B1 + D +A’ となる 一部機能保持をしながらの解体・分離で、
図の下が A’ → B2 + C となる 物性レベルの分離です。
まず ここをはっきりさせて
それが、いろいろな製品や物質のリサイクルの違いや国の違い、視点の違いでどのように呼ばれているのか というところから 用語の問題は整理していけばいいのではないでしょうか。
もうひとつ、それに対するご意見も載せておきます。
下記ご連絡,有難うございます。
おっしゃるように,sortingやseparationは一般的な言葉なので,分野によって異な
る使い方をしているように思います。
環境・リサイクルの領域には多くの分野がありますので,私もこうした用語の統一は
確かになかなか難しいと思います。
事務局に寄せられた意見を紹介しておきます。
日本語の分別と選別に関するご意見に関しては仰るとおりだと思います。
一方、廃棄物管理サイドからみると、
source separation
という語は、家庭・生活系廃棄物にもひろく適用され、
日本語では分別に相当すると思います。また、
sorting at source
という語が家庭・生活系廃棄物に適用される場合も見られます。
sourceという語を伴っている場合が多いですが、separation、sorting
が(事業者による機械的な)選別だけでなく、(消費者行動としての)
分別にも適用される場合が少なくないため、分別と選別を英語で
書き分けるのは容易ではないように思えます。
用語の統一的な定義がないことは同意いたします。
事業者様によってはシュレッダに入れる前に投入物を区別することを「分別」
その後のシュレッダ物を素材別に分けることを「選別」と
定義して使ってられる例がありました。
確かに投入前の区別が重要であることを強調するために
そのように使い分ける意図は良く分かります。
一方、大和田先生の『排出元が分別で、プラントが選別』というのは感覚的に
分からなくはないのですが、個人的な意見としては、実施主体によって
プロセス名が区別されるのは望ましくないようにも思われます。
対応する英語の用語については、大和田先生同様???です。
「リサイクルのフロー」に書かれているリサイクルに関する用語については,以前より統一されていないのを気にしておりました。私は選鉱・選別の専門家なので,その視点から見ると以下のように定義すべきと思っております。
分別(英語は???): 一般市民がゴミを仕分けすること。プラントで行うことはすべて「選別」で「分別」とは言いません(かなり多くに人がこれを誤解しています)。
解体(disassembly): プラントに入ってきたものを,粉砕する前に人やロボット
等でパーツごとに分けること。
粉砕(comminution): 固体のサイズを小さくすることで,本来,比較的大きなものを対象とする「破砕」(crushing)を含む広い用語。
選別(sorting): プラントに入ったきたものからある成分を濃縮
(cocentration)することで,通常は粉砕を含む。手選ももちろん「分別」でなく「選別」です。
選鉱・鉱物処理(mineral processing): 天然(鉱物)資源を選別すること。
分離(separation): 解体・選別およびその濃縮物を精製することを含めて,ある成分を他成分と分けること。
因みに,beneficiationは対象物にかかわらず,ある成分を濃縮することです。
日本語を使いながら、も少し凝ってみました。どちらも選んで分けているわけですが、前者はreusableなものを取りだすかどうか、後者は成分リサイクルがしやすいように成分の濃縮、不要物の除去を行う工程としてみました。もしかすると後者は「濃縮」という視点のほうが良いのかもしれませんね。