中村崇氏〈東北大学名誉教授〉
『環境負荷物質の考え方』、ということで今日はお話をします。”循環使用した時の「環境負荷の考え方」”というのは、これはずいぶん昔に話したことがあるんですけど、CE(サーキュラーエコノミー)(*1)になってからは、こういう話をしていないんですね。
そういうことで、ちょっとお話をさせていただきます。
「環境問題の変遷」って書いてますけど、いろいろなものがありますよね、ということで
物質を考えるとですね、何をこういうの(環境負荷物質)を定義するか、っていうのが問題なんですけれど、”直接、健康に被害を与える「元素」「物質」がありますね”、とか、”直接的ではないんですけれども、「環境ホルモン」として問題がありますね”、とかいろいろあるんだと思います。
それで、“何を一体ターゲットにするべきか”、というか、“問題として考えるか?”というのが、あるんだと思います。
この中で、「CO2」っていうのが、結構微妙な物質でして、”直接的な健康被害はありませんが、今や、「最大のリスク物質の一つ」”、かな?ということに、まあ、考えられます。
「環境規制元素」に関していうと、昔々ですね、欧州に〈ELV指令〉(*2)があって、これがほとんど〈RoHS(ローズ)〉(*3)と一緒ですので、まあ、こっちの方を出したんですけど、まあ、こういうのが引っかかってまして、それぞれ「閾値(しきいち)」がありまして、これ、どんどん変化をしていきます。
ただし、ここにひとつポイントがあってですね、この場合は「例外物質があります」、「例外対象物がありまして」ということになっています。
今日、ちょっとこの話を、ぜひ、皆さんに議論していただきたいんですけども。
これも大昔から使っているんですけども”「トレードオフ」が必ず生じます”、と。”廃棄物の毒性から発生する環境へのインパクト”と、”それを抑えるために、「エネルギー使用」“がありますので、必ず、こういう、”「エネルギー」とトレードオフ”。今や、その「エネルギー」っていうのが「CO2」となりますから、”「CO2」とのトレードオフ” が、起きてしまいます。
“これをどう考えるか?”、というのがひとつの問題で、ここはですね、いろんなものを今までやったんですけど、いろんなものをここに書いて、ここにCO2書いて、いろいろこういうことが起こるよね、と。技術的には、これ、全体に下げるということをやんなきゃいけないんですけど、必ずトレードオフが起こります、と。
それで、「両方ミニマムにする必要があります」、ということを、いつも話しをしています。
もうひとつ、これは、大昔、中西先生?のパワポだったんじゃないか?と思いますけど、まあ、これ、よく言われる「化学物質の有害性」っていうのは、「その有害性そのもの」と、「暴露(*4)の確率」。これがリスクですよね、と。
と、そういう話が出ていて、
これをですね、20年とは言いませんが、10何年前かな?ちょうど、〈WEEE(ウィー)〉(*5)とか〈RoHS(ローズ)〉がワーワー言い始める頃に、あちこちで話をしたことがあります。
特にちょっと、「鉛はんだ」のことに関して、電子機器等で「鉛はんだを禁止します」と。
その当時ですね、今はそうでもないですけれども、当時はですね、実は「散弾銃」がまだ禁止されてなかったんです。鉛だったんです。はっきりいうと鉛合金ですけど。まあこれヨーロッパの人たちが狩猟民族ですから、こういうの好きですから、これ、規制がなかったんですね。
今は規制がありますから、こういうことではないんですけども、こういう問題も起こりえるっていうか、その当時は問題があった、と。
ここで、今日これについての、皆さんから意見が欲しいというか、「元素規制の考え方」で、“有害性があったら使用しない”というのが〈RoHS(ローズ)〉、〈WEEE(ウィー)〉。
日本も全部それで、「水銀条約」もみんなそれになってるんですけど。まあ、そのような形になってます、と。
「エネルギー・鉱物資源の枯渇」とかですね、「CO2の問題」があって、”CE(サーキュラーエコノミー)を促進すると、変わるんではないか?”と。つまり「暴露・拡散リスクを考えて使用」、「暴露・拡散防止システムを確立した安心」ということになる。
そして、その時に、“「科学的知見に基づいたリスク評価」が必要じゃないですかね?”ということで。
この図がですね、なかなかみんなに理解されずにですね。
まあ、これは私が勝手に、昔々考えた、これは2010年より前に考えて出してるんですよ、確か。だから、こういう横軸は、このような数字になってるんですけど。
だんだんですね「環境規制がない状態」から「環境規制を入れてきて」、それでまあ、「RoHS(ローズ)とかREACH(リーチ)(*6)で、ちゃんとコントロールする」と。ただし、今だとCE(サーキュラーエコノミー)ですよね。
まあともかく、“「新しいシステムを導入して」、「科学的根拠でリスク評価」”、「暴露」まで考えたリスク評価。そして、「循環」をきれいにやればですね、そう、一般的には、”簡単には、ですね、暴露しないんじゃないか”、と。
“そういう社会に行った方が、トータルとした環境にはいいんじゃないか?”ということを、その当時、思って、こういう話をしているんですけれど、まあ、「した」という意味ですね。
勿論、そうならずにですね、規制としては、どんどん厳しい方向に今、行っている、と。
それで、その時に「循環」という考え方が、導入されていないんですよ。そこらへんを”どういうふうに考えるか?”ということを、今日、皆さんに議論していただければ、と、思います。
この後ですね、例えば「ファーストソーラー」(*7)が”「CdTe(カドテル)」(*8)も集中管理をして、きちっと「暴露」しないようにしますから”ということで、売り出したわけですよね。
そういうことがあるわけで、そういう考え方は一部は導入されているようなところもあるし、これが、なかなか「どういう基準で」「どういうふうになるか」っていうのを具体的に持ってるのは難しいんですけれども、まあ、そういうことがあるので、“CEなんかが導入されてきたら、この辺の考え方そのものも、それに対応して考えてもいいのではないか”、ということを、今日、皆さんに議論していただいて、私も、もう少しこれを深めるのか、もうこれは、”やっぱりちょっと無理だったよね”、と思うのか、含めてですね、考えたいなと思って、この話をさせていただきました。
今日は、私は2回目なんですけれども、最初に「エネルギー」の話をしたのは、ここがあったんですよ。
つまり、本来このように、”循環型社会を作る”とか、”CE入れる”とか言っても、これ基本的に「環境対応を良くしようとしている」わけで、その時に、「エネルギー問題」とこういう「環境非制限層」をきちっとコントロールする、というのが、必ず出てくるわけですから、そこで結びつけなきゃいけないんじゃないか、ということで、それも含めて、話を議論をしていただければいいかな、と思っています。
(*1)CE(サーキュラーエコノミー)
サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環分野の 取組について
〈経済産業省・環境省〉
http://www.env.go.jp/recycle/mat02.pdf
(*2)ELV指令
[使用済み車両に関する2000年9月18日の欧州議会と欧州連合理事会の指令]
(*3)RoHS:Restriction of Hazardous Substances Directive
(危険物質に関する制限令)
JETROサイト内
RoHS(特定有害物質使用制限)指令の概要:EU
Wikipedia
〈参考〉
(*4)暴露と暴露
(*5)WEEE(ウィー)
WEEE(電気電子廃棄物)指令の概要:EU
〈JETRO〉
(*6)REACH(化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する規則)
REACH関連情報〈環境省〉
REACH規則(リーチ規則)https://sustainablejapan.jp/2017/08/05/reach-regulation/27718
(*7)ファーストソーラー
(*8)CdTe(カドテル)
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