「新しい電子基板リサイクルに関する展望」 森弘吉氏 2022年9月29日

2022年9月29日

「新しい電子基板リサイクルに関する展望」

森 弘吉氏

〈株式会社 エムダイヤ〉

【森さん】

皆さん、はじめまして。株式会社エムダイヤの森と申します。よろしくお願いします。 今日、プレゼンするのは、隣におります道林と申します。

【道林さん】

同じく、株式会社エムダイヤの道林と申します。よろしくお願いいたします。

【森さん】

今日なんですが、内容としましては、

「新しい電子基板リサイクルに関する展望」ということで、

実は、我々の方で、今、新しい製品と言いますか、元々、我々の会社というのは、リサイク ル機械の製造販売を主にしている会社になります。

それで、今、「基盤のリサイクルをする」という中で、新しい機械というものを作りまし て、それを皆さんにちょっとご覧いただいて、

ざっくばらんに感想ですとか、或いは、”こんなふうにしたらどうか”、みたいな、何かそ ういうアドバイスといいますか、そういうのもひっくるめて、意見交換をできたら有難い な、と思いまして、今日お話させていただくこととなりました。

では、早速ですが、よろしいですかね?

それでは始めさせていただきます。

【道林さん】

それでは、私、発表させていただきます。

それでは、「新しい電子基板リサイクルに関する展望」と題しまして、今回は、弊社の製品 である〈基盤剝離機 エココレクター〉に関してご紹介をさせてていただきたく思います。

本プレゼンは、商品のPRではなく、弊社が保有する技術、および製品について、将来性を含 む、意見を伺う趣旨で制作させていただいたものになります。

それではまず、弊社の会社概要について簡単にご説明させていただきます。

弊社なのですが、富山県の海沿いにある滑川(なめりかわ)市という場所にございます。

ちなみに、滑川市、写真にございますホタルイカの他、白エビなどの海産物に恵まれた自然 豊かな場所であり、弊社はこの滑川市で事業をさせていただいております。

主な事業といたしましては、こちらの三つです。

一つ目は、

「独自技術の環境機械の製造販売」

主に、リサイクルの効率がより良くなるような設備を製造販売しております。 こちらに記載されている設備は、一部をご紹介させていただきます。 二つ目は、

「機械の修理・改造」です。

油圧機械を中心とした産業機械の修理や改造業などをさせていただいております。 また、この他にも、

三つ目の事業として、

アルミや樹脂を初めとした

「各種リサイクル業」を行っており、

これらの事業に関しては、全てIoTなどの体制を整えて、稼働の高効率化をサポートできる ような体制を整えております。

それではここから、弊社の製品の一部についてご紹介させていただきます。

上にございます、〈エコセパレ 分離破砕機〉は、異素材の混合物でできた廃棄物を素材ご とに分離しながら破砕する、画期的な破砕機です。

例を挙げますと、例えば「廃タイヤ」などはゴムと鉄製のビードワイヤーで構成されてお り、今まではこれらの除去が難しく、埋め立て等の処置しかとることができませんでした。 (*1)

しかし、弊社の設備を用いることで、写真のようにゴムと鉄製のビードワイヤーに分離しな がら破砕することができ、素材ごとのマテリアルリサイクルを実現することができます。

[切断機]〈エコカッター シリーズ〉、〈エコループカッター〉はシャープな切れ味が特 徴です。

立体物などでも断面が潰れにくいとか、

「アラミド繊維」、通称「ケブラー繊維」(*2)と言われるような難削繊維であっても切 断することができるため、リサイクルの可能性を広げることができる、として、大手リサイ クル会社様でも重宝されている設備となっています。

また、弊社では、各種機械に取り付けることで、「生産管理」、または、「設備の監視」が 可能となる[ IoTモジュール]〈エココントローラー〉というものも製造させていただいて おります。

主な機能といたしましては、

「設備の動作状態の確認」「主要部品の異常の確認」「消耗品交換時期の自動通知」「処理 量の確認」

などがございます。

こちらに写っております「基本情報画面」を初めとした「IoTの画面の作成」、 また、「データ集約のためのサーバーの立ち上げ」などは、全て自社で行っており、

たとえ、トラブルが発生した場合でも、迅速に自社で対応できる体制を整えております。 このようなリサイクル機械を製造販売させていただいている弊社なのですが、 今回は新たに、「電子基板のリサイクル」に特化した機械を開発いたしました。

それが、今回ご意見をいただきたいと考えている〈基盤剥離機 エココレクター〉となりま す。

こちらは、「薬液」や「破砕」ではない、新たな処理方式での剥離工法を搭載した設備で す。

こちらの設備の外形は、約 畳3畳以下と、非常にコンパクトな設計になっているほか、設備 下部にキャスターを搭載しているため、工場内での移動も容易となっています。

主な機能といたしましては、こちらの設備に電子基板を投入すると、写真のように、部品が ついていない基盤と、電子部品が、ほぼ破損されていない状態で配置されます。

この際に、ほぼ原形を留めた状態で配置されるため、高精度の選別が可能です。

〈基盤剥離機 エココレクター〉は、従来の基盤処理方式で起きていた課題を解決すること ができます。

従来の方式といたしましては、主に、「破砕機で電子基板を破砕した後、それらをまとめて 乾式製錬炉で精錬する」という方法が一般的でした。

しかし、これらの方法では、主に三つの問題が発生します。

一つ目は、

①「貴金属の買取評価のばらつき」です。

製錬会社様では、精錬の際、オートサンプラーを用いて、少量のサンプルを回収し、貴金属 評価を確かめています。

この方法は、少量の貴金属評価が、例えば、フレコン(*3)1個分であったり、のような 全体の評価に繋がることが特徴です。

しかし、フレコン内に貴金属の価値が高い箇所はごく一部しかございません。

そのため、この工法では、

「最終、場所によって評価に大きくばらつきが生じ」、

「買取価格が安定しない」

という問題がございます。

二つ目に、

②「製錬時に好まれない成分の混入による悪影響」です。

電子基板には様々な成分が使われていますが、その中の一部の金属が製錬時に悪影響を及ぼ す可能性がございます。

主な例として、「鉄」や「アルミ」は製錬の際に不純物扱いとなるほか、 「樹脂」は燃焼の際の熱量は高く、銅を痛める場合がございます。

ここまでにご紹介しました課題、①、②は、破砕機の後に、事前に電子部品や基盤の選別を 行うことで解決することができます。

しかし、三つ目の問題として、

③「選別精度の低下につながる」

この選別が、従来の処理方式では難しい、ということがございます。 その理由としましては、破砕によって、基盤および電子部品の形が崩れることから、

例えば、「風力」や「ふるい」といったような選別方法での選別精度が低下し、貴金属ごと に品位を揃えることが困難となっておりました。

弊社設備での最大の特徴は、

「電子基板と電子部品を分離することができる」。

そして、

「その分離、剥離の際に電子部品の形が崩れにくい」

ということにあります。

これにより、「風力選別」、「ふるい選別」、そして、例えば「画像選別」といったような 選別精度を大幅に向上させることに成功しました。

そのため、選別工程を挟むことで、

「鉄やアルミが含まれた電子部品の事前の除去」や、「レアメタルなどの貴金属を回収」し やすくなったことで、結果的に貴金属の濃縮に繋がりました。

これらのようなメリットがあることにより、必要なもの以外の金属が除去されることで、

「貴金属評価のばらつきを減らす」ことができるほか、「買取価格の低下も抑える」ことが できます。

また、鉄やアルミなどの好まれない金属においては、鉄スクラップ会社など、別の会社に買 取りを依頼する余地が生まれたことで、今までゴミとなっていたものが資源として再利用で きるようになりました。

実際に、弊社がヒアリングさせていただいた事例では、

「何も処理していない電子基板」の買い取り価格が1キロ当たり1500円だったものが、 「電子基板と電子部品に分けた」ことで、電子部品の価値が1キロ当たり7000円と、 5倍もの高付加価値化に繋がった、という事例もございます。

弊社の〈基盤剥離機 エココレクター〉を用いることによって、このようなフローを組むこ とが可能です。

破砕などの従来の処理方法では、部品ごとに選別することができなかったため、 選別していない状態で、精錬会社に持ち込まざるを得ない状況となっておりました。

しかし、弊社の設備を用いることで、電子基板に使われている様々な金属の最大限の高付加 価値化ができる余地が生まれ、

お互いの金属がお互いの評価額の足を引っ張ることなく、価値を最大限に高めたリサイクル が可能となります。

また、先にご紹介させていただきました、弊社が別に開発しているIoTを取り付けることに より、設備の稼働状況を常時管理監視し、高効率な稼働をサポートすることも可能です。

ここまでが、弊社が製造した〈基盤剥離機 エココレクター〉のご紹介となります。

ここからは、このエココレクターの技術を用いた転用案、および展望についてお話させてい ただきます。

本技術の転用として、弊社エココレクターの原理を応用することにより、太陽光パネルのガ ラス剥離に弊社の離剥離技術が転用できると考えております。

太陽光パネルを初めとした、これらの製品に用いられているガラスは、本来、同じ種類のガ ラスのみで分別し、リサイクルする必要がありました。

そして、その際、もし異物が混入した場合は、リサイクルが難しくなる、という特徴がござ います。

しかし、太陽光パネルに使われているガラスなどは、接着剤で他の層と固定されており、破 砕などを行って、ガラスを剥離しようとしたとしても、ガラス単体での剥離ができず、リサ イクルがほぼ不可能となっておりました。

また、このような現状から、異物が購入したガラスはほとんどが埋め立てされており、環境 負荷も大きいものとなっています。

弊社設備では、接着剤を溶かすための熱とエココレクターの原理を用いて、ガラスのみを剥 離することができると考えております。

現在、弊社では試験段階であり、開発中ですが、開発に成功した場合は、これらのリサイク ルにも大きく貢献できると考えております。

今後の展望といたしまして、弊社では、基盤剥離機を用いたレンタル、リースビジネスを考 えております。

主な仕組みとしては、

「納品した客先に、IoTを含めた設備を貸し出し、稼働状況に応じた料金をいただく」 というような方式です。

このような事業は、海外での電子基板リサイクルに有用ではないかと考えております。

海外では、手作業で電子基板をリサイクルしている箇所も多く、弊社の設備でこれらの作業 工程の簡略化、および、高効率化を実現できればと考えておりますが、

その際に、製品の購入に当たっては、「日本と海外での物価の違い」という問題点がござい ました。

例えば、東南アジア諸国などでは、物価が日本に比べて数分の1となっており、これらのよ うな物価の違いが販売における障壁となる場合がございます。

そのため、このようなレンタル、リースといった形態をとることで、海外のお客様でもより 安価に製品を使うことができ、海外での電子基板のリサイクルにも貢献することができる、 と考えております。

また、今後の予測として、さらにレアメタルの国内安定供給の取り組みが強まるのではない かと考えています。

2010年時点のデータでは、現在、レアアースの世界供給は約97%を中国が生産しており、日 本も2009年時点では90%強を中国に依存しています。

またレアメタルの一つであるタンタル(*1)も、ブラジル、モザンビーク、ルワンダな ど、海外に依存しており、今後もこのような状況が続けば、情勢により供給が不安定になる 場合がございます。

この事態を鑑み、日本政府では、平成23年度からレアメタルのリサイクルについて検討を続 けており、これらの取り組みは現在も続いております。

基盤剥離機を利用して、都市鉱山を活用し、これまで捨てられていた部品を回収することが できれば、都市鉱山を用いた国内のレアメタル利用率が高まり、安定供給に繋がると弊社は 考えております。

将来的にこれらの設備を用いたリサイクルによって、SDGsにも積極的に貢献できれば、と考 えております。

〈基盤剥離機 エココレクター〉で特に解決したいのは、

〚ゴール16 平和と公正を全ての人に〛です。

エココレクターがターゲットとしている電子基板には、多くのレアメタルや貴金属が使われ ていますが、タンタルもその一つです。

しかし、タンタルは、ルワンダやコンゴ民主共和国で採取されることも多く、米国では[紛 争鉱物]としても指定されております。

昨今の情勢による半導体不足などからも、レアメタルの希少性は日に日に高まっておりま す。

であるからこそ、弊社の設備を用いて、これらの希少金属のリサイクルに積極的に貢献でき れば、と考えております。

最後に、弊社が掲げている経営理念についてご紹介させていただきます。

弊社は、スライドに書かせていただきました三つの経営理念をもとに事業を行っています。 1.私たちは独自の技術を発展させ、循環する資源による新しい可能性を想像します。

2.私たちは未来の人々のために、笑顔にあふれた子供たちが遊べる地球環境を残すことで 社会に貢献します。

3.私たちは共に学びながら高め合い、夢・希望・目標を実現できる会社を目指します。

弊社では、今までに培った独自技術と、先ほどの経営理念をもとに、 「総合環境企業となって世界の環境を変える会社」

そして、

「世界の環境問題を改善し、社会に貢献する会社」

を、今後目指してまいります。

以上で説明を終了いたします。

弊社製品、および電子基板のリサイクルの今後について、ぜひご意見を伺えますと幸いに存 じます。

それでは、スライドを終了させていただきます。

ご清聴ありがとうございました。

(*1)タイヤの構造

ヨコハマタイヤ 公式ホームページ
ようこそ、ヨコハマタイヤの公式ホームページへ!「ADVAN」「BluEarth」「GEOLANDAR」などに代表されるブランドを擁するヨコハマタイヤは、卓越した技術力をもって世界各地で活躍するタイヤを生み出しています。

〈横浜ゴム株式会社〉

(*2)ケブラー®とは

ケブラー®パラ系アラミド繊維とは | 東レ・デュポン株式会社
東レ・デュポンが提供するケブラー®パラ系アラミド繊維とは

〈東レ・デュポン株式会社〉

(*3)フレコン

フレキシブルコンテナバッグ

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%96%E3%83% AB%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%8A%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%B0

(*4)タンタル

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%AB

 

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