2020年5月14日
「COVID19とエシカル消費」
中原秀樹氏
都市大学名誉教授
日本エシカル推進機構名誉会長
皆さんおはようございます。
パワーポイントとか写真を用意しましたので、 これを見てください。
これは、今同じエシカル運動で、注力をしています、イギリスの[エシカルコンシ ューマー]という団体があります。
そこに関して、自分たちでもなんかやれることがあるのではないか、ということで 連絡をいただいているんですね。
そういう中で、最初にお伝えしたいのは、「Stay Home」の話ですけれども、
エシカルコンシューマーとしては、連絡があったときに一番問題なのが、やっぱり 公共交通機関を使うのは感染症の一番もとになる、と。
ですから、移動するとするならば、自転車でやってくれとか、徒歩でやってくれ、 ということを呼び掛けているんですけれども、
原則的には、何かいい本を読んだりや、今画面にあるような、映像を見て、楽しん でください、ということですね。
で、その映像を見るときに、注意事項があるよ、と。
今このスライドにありますように、
ストリーミングサービス、オンラインで見る前に、この四つのポイントに気をつけ てほしい、と。
一つは、
・「再生関連可能エネルギーをちゃんと使っているかどうか」ということで、 気候変動の影響問題。
サーバーを動かしているわけですけれども、
・「紛争鉱物、これに対する各ストリーミングサービスをやっている会社の企業方 針」というのを評価しましょう、と。
それと、三つ目が、
・「電子機器の製造工程における汚染と毒性の問題」
これも、いわゆる〈環境報告書〉であるとか、そういうものを見ながら、ちゃんと チェックをしましょう、と。
そして、特にGAFAなんかでいろんな問題が出ているんですけれども、いわゆるTax H aven、
・「租税回避」の問題、と。
”この会社は脱税戦略やっているんじゃないか?”、ということをチェックしまし ょう、という中ですね、結構できております。
そういう意味では、日本の場合、新聞報道なんかで出てくるのは、「昨年の倍増し ている」、とかですね、「全世界1500万人がネットフリックスに参加している」、 とか、そういう記事ばっかりですけれども、
その裏側にですね、”エシカルな消費を進めていくことができるんだよ”、という ことで、こういう提案がなされております。
次の問題点はどこなのか、というと、この図であります。
実はこれは、最近自宅から出ないために、いろんなものをインターネット通信販売 で買うのですけれども、そこの倉庫の様子があるわけですね。
「この倉庫の中で働いている労働者の問題を考えてほしい」、と、こういう字が出 ております。
これは、実はきっかけになったのは、イタリア、フランス、ニューヨークで、Amazo nの会社がですね、とんでもない数の感染者が出ている、ということで、そこをきち っとやっぱりチェックしろと、こういう運動が広がっているぞ、という形でありま す。
このきっかけになりましたのが、このワシントンポストの記事なんですけれども、
いわゆるワシントンポストのこの記事はですね、
「24時間ダンボールがある」、とか、そういうことが書かれているわけなんですけ れども、
コロナウイルスは主に人から人への直接接触によって感染するが、段ボールの上で 最大24時間、プラスチックやステンレス鋼の上で最大3日間、潜在的に生存し、人に 感染する能力を持つ可能性がある。トイレ後の手洗いも、時間の制約から十分では なく、直接段ボールに触ることも、忙しくて要求されている」、と。
「いわゆる”3密状態”の中で働かされて、これだけの被害が出ているぞ」、という 記事が、どうやらきっかけとなりました、と、こういう紹介であります。
そういう中で、エシカルコンシューマーの方が提案したのは、
この、”Amazonで働く世界の労働者を救おう”、と、”そのためにはAmazonの製品 をボイコットしようというキャンペーンが出ていることですが、日本ではこういう 報道も全くされておりません。
アメリカでは民主党を中心に、いろんな反対運動を、もしくはAmazonに対する圧力 をかけた、ということが出ておりますけれども、全く(報道)されていない。
特に、なぜこういう「ボイコットキャンペーン」を、
エシカル消費の価格付けの中に、その基準の一つとして『人権問題』が入っている んですね。
この『人権』の中にはご存知のように「労働者の権利」がある、とか。 もしくは「サプライチェーンマネジメント」、
「無責任なマーケティング」、
それと「スウェットショップの問題」(*1)、
さらに「武器と軍事凶器」とかですね、
「国際的な健康問題」、
「児童労働」、
そういう問題がいろいろ入っている、と、ということで、これをボイコットせざる を得ないんだ、ということであります。
三つ目の話題が、
「スーパーマーケットの裏側」ということで、
この連絡が、4月21日に届きました。
イギリスのこのスーパーで売られているものとかですね、野菜のほとんど多くのも のが、実はスペイン南部のアルメリア(*2)というところやウエルバ(*3)と いうところで作られているわけです。
その一環として、例えばモロッコであるとかアフリカのいろんな国から移民労働者 が来ているわけですけれども、(*4)
スペインのこの地域ではですね、〈移民労働法〉の中に〈社会的距離法〉、
さっきこれ(談論風爽)が始まる前に、”1mの密にならない間隔というのはどれぐ らいあるのか”、という話を、ちょっと原田さんとしたんですけれども、
いわゆる、スペイン人が住んでいるところと、移民労働者というのは、離して隔離 をしろよ、と、こういう法律がスペインの中ではちゃんとある、ということで、
そんな中で、彼ら働いている人たちですね、ウエルバであるとかアルメリアで働い ている人たちですけれども、この移民労働者、どのように住んでいるのかという と、
こういう木材とかですね、もしくはプラスチックの中で生活をしている、という感 じです。逆に、水際まで行くのに1km以上、遠くに行かないと無い、という感じで生 活をしているわけですけれども、
この「移民労働者の扱いが酷い」ということで、実は1月に国連が、 「最悪の環境である」ということで、こういう表現をしています。
それに呼応する形で、今度はさらにその後、これは1月ですけども、
いわゆるパンデミックが起きたためにですね、スペイン経済がほとんど動かなくな った、と。
しかし、この移民労働者というのは、住処(すみか)の中から、離れることができ ない。当然旅費もないでしょうし、賃金も全く払われていない、という状況なんで すね。
まず、この木製のパレットであるとか、ダンボール、プラスチックで作られた中で 働いている、と。
その中で、お金が入らないためにですね、飲みもの、食べもの、そういうものがな くなって、さらに感染を防ぐための様々な医薬品、そういった物資が全くないとい うことで、叫び声をあげて、
それに対して、エシカルコンシューマーの方が、”何とか彼らを救おう”、という ことで、
クラウドファンディングをやった、そういうのがこの記事になるわけです。 一応、200万ユーロが集まって、
第1次の支援体制ができたわけですけれども、
我々日本人にとってみれば、ストアは開いているし、スーパーは開いているわけで すよね。
多少リスクを冒さなければ、少なくともモノが買いに行けるわけですけれども、
こういう私達の生活を支えてくれている裏側で、こういう実態がある、ということ を知らされていない、と。
そんな中で、”なんていうことだ”、と私が思ったのは、一生懸命このコロナの問 題についてですね、やっている日本の国内では、医療関係者であるとか、介護をや
っている人たち、その人たちが、”汚染源だ”、という形で、非難され、三重県で は家に石投げられるなんていうことも起きている、と、
そういう意味で考えると、日本に来ている技能実習生、彼らが一体どういう立場で 置かれているのか。そして新聞やいろんな論文で、「第三世界(*5)の問題は大 事だよ」、と言っているけれども、
こういう具体的な目線の中、生活のレベルの中で、きちっとものを言っていかない と、抽象論だけで終わってしまうのではないかと、
そういう意味では私、〈エシカル推進協議会〉(*6)と、足立さん(足立直樹 氏)も見てらっしゃると思いますけども、一緒になって、活動しているわけなんで すけれども、”こういう「日常の視点」が忘れられているのではないのかな?”、 というのが、実は、今日の問題提起ということでご紹介させていただきました。
以上です。
(*1)スウェットショップ
スウェットショップとは?人権の搾取が存在する流行の裏側

COCOCOLOREARTH
(*2)アルメリア
(*3)ウエルバ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%90 〈wikipedia〉
(*4)スペインでの移民労働者 参考記事
新しい移民流入国としてのスペイン
https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp › record › 47603 › files › pas01500 4.pdf
〈東京大学学術機関リポジトリ〉
(*5)第三世界
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%B8%89%E4%B8%96%E7%95%8C 〈Wikipedia〉
(*6)エシカル推進協議会

〈(一社)日本エシカル推進協議会〉
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