「都市鉱山メダルと市民リサイクル」 原田幸明 2021 8/2

コラム紹介

原田幸明氏〈物質・材料研究機構名誉研究員 サーキュラー・エコノミー&広域マルチバリュー循環研究会 代表〉

 

よろしくお願いします。

いつも皮切りなので、いつも大体全体の話をしているんですけれど、今日はよくよく考えますと、横で『オリンピック』というものをやってますので、この「都市鉱山メダル」の話をしたいと思います。

しかも、「都市鉱山メダル」がどう、などという話はあまりやる気はなくて、主旨は、だいたいその「資源の採掘の問題」と「 E-waste(※1)の問題」を強調しています、ということです。それで、特に強調したいのが、“リサイクルした”だけではなくて、リサイクルしたものを集めて、それがほとんど廃棄物を出さない状態で作っている”ということ。これは特に海外メディアに対して、強調しております、ということです。

それはそれなんですが、今日の話はどちらかというと、“その時にどういった運動をやっていたか?”ということを、ちょっと皆さんに出して、みなさんのいろいろな意見を聞きたいと思っております。

正直、結論を言いますと、“都市鉱山メダル自体は行ったのですけれども、市民運動として展開していく上では、かなり不十分感を感じている”というところでございます。

一番最初にやったのが、皆さんご存知かと思いますが、「インターネット署名」というのを展開いたしまして、インターネット署名で、大体目標が30万と言っていたのですけれど、1万くらい集まった時にですね、まあ大体の決着がついて決まったということでございます。

”なぜリサイクルするんでしょう”、ということで、

こういう資源採掘の問題など

いろいろこのような運動。これは早稲田の学生ですけどやってきました。

一番最初にやったのが、この「インターネット署名」ですね。

こんな感じで集まってます。

そのような中でですね、こういう一般認識。

このような一般認識ですね。

でも実際の集まり方というのは、大体こんな感じで、「使用済み小型家電の回収率は5%未満」と、いうことでございまして、

こういう回収の方法をやっているんですけれど、やはり、なかなか集まりにくい、と。

それで、一番重要なのは“わざわざ持って行くのは面倒”なんですよね。その部分がありますので、「なぜ小型家電は集まりにくいか」ということも分析いたしまして、要するにじゃあ、“持って行きやすいようにする”ということですが、要するに、“まとめて持っていけばいいんじゃないか”ということで、まとめていくための『都市鉱山バッグ』というのをやりまして、

中には“こういう家電が対象になりますよ”というカードも入れてですね、進めていった、ということですね。

このようにバッグでやってみんなで集めて行こうという運動をやりまして、

これをクラウドファンディングで行ったわけです。クラウドファンディングでやって、「都市鉱山バッグを配ってくれるところに、バッグを送りましょう」というのをやりまして、

大体目標の額以上ぐらいは集めてですね、これは、それなりには成功したんですけれど、もうちょっと運動したかったですね。

これ(ストラップ)はバッグの時のお礼として出しているものです。

ここにありますけれど、約175万円集まりまして、海老原さんのところにも行きまして、何回も配ってもらったということでございます。

大体1万枚、みんな配って、ということをやりました。

更にはですね、”自分たちでバックも作ってもらおう!”ということで、これは、ですから、学校などを意識して、「お母さんたちがバッグを作れるんじゃないか」ということで、これはA4封筒からバッグが作れますよ、とか、このような運動も展開したり、

これはですね、東京タワーイベントでそれをやって、子供達に絵を描いてもらって、みんなでこれを家に持って帰って、小型家電なんかを集めましょう、というようなことなどもやったわけですね。

更に欲張ってですね、これを競争させよう、ということで「どこに出したか」というのを登録したら、

こんな感じで、「どこ(の地域)が出てる」というのが出るんじゃないか、というような運動までやったんですけど、これは流石に完全に空振りでしたね。誰も登録してくれませんでした。もうちょっと、気楽なアプリに、今だったら考えたんですけど。郵便番号出して、などとというのは(難しかったですね)。

そのようなことをやって、できるだけみんなの身近にやっていったのですが、やはりその”「みんなの自分で出したもの」が、「目の前の目標になる」”って非常に大きいので、“私の使った電気製品が金メダルに!”と、

これは、やはり、自治体のイベントなんかにも合ってるということでですね、自治体の方にも広めて行こうということで、京都市、北九州市、はじめですね、こういう取り組みがあったわけですね。

つくばでもやろうと思ったんですけど、コロナで吹っ飛んでしまいましたね。

基本的にですね、こういった活動っていうのを、例えば自治体規模でやった場合には、今まで、その自治体と、それから地方のですね、”メダル自体も、その地方の方が作る”、というふうなことで、例えばメッキ業者ですとか、コーニング(※2)の関係の方だとか、そういった方々も協力しながらできるわけでして。そのように、単なる「メダル、リサイクル」だけではなくて、「地域協力」のタイプ。そういったこともできるんじゃないか、ということで、今、働きかけているところです。

そして、一番ここで私が強調したいのは一体何かと言うとですね、「小型家電のリサイクル」、「都市鉱山」というのは、世の中大きく間違ってまして、“資源がないから都市鉱山リサイクルする” のは正しいんですけれど、はっきり申し上げて、「みんなの持ってる小型家電出したって資源的には大したもんじゃありません」。

量的には、むしろですね、ここに書いてます「加工屑」、「工場屑」、それから「産業屑」、一番勝負なのは「産業屑」ですね。この部分は集めなきゃいけない。そして、家庭用のものによっては、非常に経済的に不安定になります。現に最初取り組んだところもですね、だいぶ減ってて、オリンピックのおかげでどうにかこうにか持った、というのが現状ですね。

ということは何かっていうと、「産業屑であれば、経済的に成り立つ」のです。“資源が足りない”ということに対して。そして、みんなが使った屑はですね、はっきりいって量的にはそこまで行きません。だから「経済的には成り立たないリサイクルをやろうとしている」。

ではなんで、やろうと強調するかというと、それは、”産業の方も全ての方が、全て市民だから”です。要するに、“自分の家でやっているものをきちんとして回していく”というのがですね、”最終的には、大きな産業屑の都市鉱山を引き出すことになる”。

ですから、私は、そういう意味で、“みんなの都市鉱山のリサイクルというのはチアリーダーだよ”、と。“そこが頑張ることによって日本中が、世界中が頑張るんだよ”、というふうなことを言っているわけです。そうなってくるとですね、例えば自治体でやろうとするときに、リサイクル業者と取り組んで、それで経済的に回る取り組みなんて“ありえない”。

それを前提として、「都市鉱山リサイクル」というか、「みんなの小型家電リサイクル」は組まなきゃいけないんですね。

ここに、このように絵を描いていますけれど、これは、小型家電のリサイクルを組んでいく上でですね、要するに、この「緑の部分」というのが一番ポイントでして、要するに、むしろ「資源のリサイクルをしている」、というよりは、自治体はですね、「地域レベルでのライフサイクル管理」って、そういうふうな感じで、むしろ「福祉」だとかそういう関係と組み合わせる形の運動として組んでいったほうがいい”と私は思っています。

はっきり言って、これで廃却産業が資源を欲しがっているんだったら、資源仕訳から抽出業のところに回ってくる運動を必死に創るんですけど、彼らは“世界から安く買ったほうがいい”と思ってるんで。回すドライビングフォース(※3)がないですね。はっきり言って。

そういう中でやっているリサイクルですから、それがその、市民の運動と結びつくっていうことを考えたら、それなりのモチベーションが要る。そのモチベーションて一体何かっていうと、“自分たちが使っているものをどうするのか?”というところでの新しい繋がり。

そういうところに意識していかないと、私はこの「小型家電リサイクル」みたいなのが、市民の運動として定着するのはなかなか難しいんじゃないか、と思います。だからそのような意味では、「都市鉱山メダル」というのは、“自分たちのものを、自分たちのもので回していく”という一つの典型。経済とは違う形ですね。

そういうところでやれば、「地域コミニュケーション」とか、「雇用対策」だとか。ここにあるのは「高齢者ケア」と書いてありますが、割とリサイクルショップとかそういうところで、高齢者の方は(お仕事)やりたがってますね。やはり、”そういう取り組みと結びつけて進めていく”、ということが重要なんじゃないかということを言いたい、今までの経験としてもですね、言いたいな、とは思っております。

駆け足になってしまいましたけれども、一番最後のところですね。「リサイクルを通じた地域の産業活性化」、「多様な雇用の創出」“モノだけでなく、ヒトのネットワークも創っていく”、というようなところで、「小型家電のリサイクル」を組んでいかないと、まず、回らない。それから、運動にもならない、というようなことを強調したいと思います。

ちなみに、こういうふうに作ったものもあります。あとの資料はですね、

都市鉱山関係はウェブサイトにまとめてあります。手元の資料に行っていると思いますので参考にしてください。

あとは、みんなの寄せられた声です。参考のために、皆さん後で読んで、どういうふうに思うか。こういうふうな声が寄せられております。

否定的意見では、こういうのがツイッターなどでありました。“戦時中の金属供出を思い出させる”とかいうことを言われたりもしました。

あと、「折紙都市鉱山バッグの作り方」も付けてますので、興味のある方はどうぞ、ということで、以上で話を終わりたいと思います。

 

(※1) E-waste

電子廃棄物(E-waste)とは

https://ideasforgood.jp/glossary/e-waste/

 

都市鉱山メダルまとめwebサイト

  • http://susdi.org/wp/medal/2021/07/15/post-330/
  • http://susdi.org/wp/medal/2021/07/15/post-365/

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