レアアースのトレードフローです。2017年とその10年前の2007年を比較しています。矢印の太さは貿易額の大きさを表していますが、レアアースの場合とりわけて貿易額の大きな輸出入関係の国があるので、緑の矢印は10倍、赤の矢印は2倍の取引があることを意味しています。
図は二種類あり、ひとつは精製されたレアアースの金属(磁石のネオジム等やニッケル水素電池などに使われるレアアース金属)で、もう一つは化合物(パネルガラス研磨に使うセリア、LED蛍光体のレアアース酸化物など)です。
まずレアアース化合物です。2017年
中国から日本への取引が大きく、二番目の流れはマレーシアから中国への取引となっています。またイタリアから日本への取引もあり、これは取引額ベースですので、原材料としてではなく付加価値の高い精製レアアースの流れが大きく反映されているものと思われます。
ちなみに2007年のトレードフローは以下のようで、中国→日本→タイの流れは、タイの液晶パネルなど製造のためのガラス研磨の精製セリアの流れが大きく出ていたものと思われます。
次は金属です。中国はもはや最大の輸出国ではなくベトナムになっています。これは、ベトナムなどの資源開発が進んだことと、中国の国内需要が増大したことの二つの側面があると思われます。
2007年には、中国→日本の流れが他を圧倒していました。
全体として2007年は中国が圧倒的でしたが、2017年は多様化が進んでいます。中国の生産というより、日本の需要を中心にレアアースの貿易は動いているとみるのがよいでしょう。