付録2 preliminary LCA 第一章LiBのLCAの現段階

LiBのLCAの現段階
  1. LiBの製造に伴う環境負荷とライフサイクル環境負荷のちがい 
  2. これまでのLiBのLCAの総括
  3. これまでのLIB LCAのインベントリーの例
  4. 現在のLiBのLCAインベントリーの課題  
1-1 LiBの製造に伴う環境負荷とライフサイクル環境負荷のちがい

まずLiBのLCAとは何かみていこう。実はこれ自体が実施者によって大きな混乱がある。LCAライフサイクル評価とは、システムや製品のライフサイクル全体の環境ストレス因子を評価するものであるが、そのなかでシステム境界とファンクションユニットをどうとらえるかで大きく違ってくる。車載用LiBを見てみると、単純には 製造、使用、処理の三段階になり、車載用LiBを製造するときの環境ストレスと使用時の環境ストレス、そしいそれらに対してネグリジブル・スモールの使用後処理の環境ストレスとして取り扱われる。

LiBのセル1個あたりの重量 Wc kg

LiBのセル1個あたりのエネルギー蓄積量 Ec kwh

LiBユニットに必要なセル数 Nu

LiBユニットの重量 Wu=Nu x Wc + α(ユニット化の他の部材)

として

 LiBセル当たりの環境ストレス(因子をCO2eqとして) Zc kg

とすると

 LiBセル一個あたりを見ると 重量当たり Zc/Wc kgCO2/kg-cell エネルギー当たり Zc/Ec kwh となる。多くの場合は これを LiB製造段階での環境ストレスとしているが、LiBユニットでみると

 LiBユニットの環境ストレス Zu=Nu x Zc + β(ユニットその他の材の製造に起因する環境ストレス)+γ(ユニット化にともなう環境ストレス) となり
 LiBユニットの重量当たりの環境ストレスは (Nu・Zc+β+γ)/(Nu・Wc+α)で同じではない。一般に Zc/Wc >> (β+γ)/αのケースが多いので ユニット単位で計算すると単位当たりの環境負荷はちいさくなる。

 それだけではない、このZuを使ってもしくは より単純な Nu・Zcをつかい それに使用時の電力使用で誘発される環境ストレス Zwをつかい 自動車のライフサイクル 環境負荷を Zu+Zwとして計算するが、電池の環境性能比較はこれでいいのであろうか。

 D km 自動車のライフサイクル走行距離

 F kwh/km kmあたりに必要とされるエネルギ量

 B kgCO2/kwh エネルギ(電力)供給で誘発される環境ストレス

とすると

 Zw=BxDxFが走行時の環境負荷となる。このなかでEは重量やパワートレインに関わる設計因子に依存しており自動車によって異なってくる。なお平均的には0.15kwh/kmが良く用いられる。個別の自動車のLCAではZu+Zwで議論できるが、多様な自動車への対応を意識したLiBを比較するにはこれをノルマライズする必要が出てくる。すなわち、自動車一台当たりをファンクションユニットにすると対象とする自動車それぞれのファンクションユニットになるために、それを同一レベルで論じることが必要になる。

 主たる目的はDkm走行するための DFのエネルギー受け渡しであるから、それはDFで規格化され (Zu+Zw)/DF すなわち Zu/DF + B となる。ここでBは電力供給で誘発される分であるから、Zu/DFで LiBの環境負荷を論じればよいことになるが、もちろんこの数値は単純なZu/Euとは同じ単位ディメンションでありながら大きく異なった値となる。このようなライフサイクル全体の観点でLiBの単位当たりの環境負荷を論じた論文もいくつかあり、それが安易なユニットもしくはセル単体の単位重量や単位蓄積エネルギー量当たりのものと混在してしまっている。

 LiBの単位当たりの環境負荷をライフサイクル指向でZu/DFで論じるメリットはほかにもある。それは技術開発として重要な寿命の概念をLCAの中に持ち込むことができる点である。

 ここでセル寿命をC0サイクルとする。寿命にはおおく80%まで性能が落ちるDoD80が用いられる。往々にしてその間の効率ηは90%として論じられている。こうるとエネルギー蓄積Ec kwhのセルは生涯で η・C0・Ec のエネルギーの受け渡しができる。これからこのライフサイクルで受け渡しされる単位エネルギー当たりのセル製造に伴う環境ストレスZl kgCO2/kWhは

    Zl = Zc /(η・Co・Ec) となる。

 効率ηがよく、寿命Coが長く、エネルギー蓄積Ecが大きいLiBを製造することは環境ストレスの低減につながることがこの式からわかる。

1.2これまでのLiBのLCAの総括

これまでのLiBに対するLCAのいくつかを表にまとめてみた。その多くはLiB出力やLiB重量単位での環境負荷が計算されているが、一部に、先述のライフサイクルでの環境負荷を求めているものもある。

このライフサイクルでの出力当たりのCO2とLiB重量当たりのCO2の関係を図にプロットしてみた。

ライフサイクルでのエネルギー当たりのCO2では 2013年のChalmersのLCAが0.044kgCO2/kwhと格段に低い値を出している一方で 2006年のIVLでは1.23kgCO2/kWhと30倍近くも値が異なっている。これはChalmersの対象がプラグインハイブリッドのバスということもあるかもしれないが、本来このライフサイクルでのマルチサイクル使用エネルギー当たりのCO2は、そのような違いも捨象して議論できるはずのものであり対象の差というより、LCAのインベントリーのやり方の差として見ておくことが必要であろう。

 そこで、LCAのインベントリーの差をみるために、ライフサイクル全体よりセルもとくはLiBユニットの単体製造に限って比較できる 重量当たりのZc/Wcと エネルギー当たりのZc/Ecを比較してみた。

Cの慶応大学のLCAは他とは異なるIOを用いてのトップダウン法によるものであるが、それに起因するかというより、電池性能を実際のものではなく開発目標値に設定していることにより大きな違いが出ているものと思われる。そのような例外もあるものの全体としてはほぼ直線的な関係になっているのは、対象としている多くのLiBがセルの単位重量当たりの出力が ほぼ百数十Wh/kgになっているためであり、逆にみるとほぼ同等の能力のLiBをLCAの対象にしているとみなす根拠にもなる。

 問題は、そのようなほぼ同等のLiBでありながら、CO2の発生ではほぼ5倍の大きな差が出ていることである。

これと同じようなレビュー結果はIVLのレポートにも見られ

のような結果を報告している。

 多くの他製品のLCAの場合で自動車や家電製品など使用時の電力やエネルギー消費が大きいモノの場合はその使用段階での環境負荷が大きくなり、製造以前のCTG(cradle to gate)の環境負荷の差異はライフサイクル全体の中ではあまり意味を持たないケースも多い。しかし、LiBの場合はそういうわけにはいかない。”Batteries are small contributors to life-cycle energy use and CO2 emission”と述べているArgonneのGaines,L.ら(2015)も次ページの図のようにLiB特にNMCにおいては使用段階でのCO2がエネルギー構成によって影響するものの、カナダでは144.5KgCO2/kmのうちの42KgCO2/kmすなわち29%が、アメリカでも198KgCO2/kmのうち21%がLiBの製造に起因しているとしている。ここでLiBの製造でのCO2が5倍変化するならばそれはLCAの結果全体を変えるものとなるのである。

では、この寄与分が少ないと述べる論文でもその2割を占め、CO2の値としてはLCAの実施者によって5倍も異なっているLiB製造段階のインベントリーのどの部分が変動要因となっているのかをきちんと見ておく必要がある。

 次ページに示すのは、これらのLCAで用いられたLiBの素材構成割合である。なお、これにはパッケージング等に用いられた素材は除外している。また、乗用車用のLiBだけでなく、バス用のものさらには携帯電話用の小型LiBも含んでいるが、どれかの要素が支配的に構成比を変化させているということはなく、個体差の範囲でほぼ素材構成は類似していると理解しておいても良いと考えられる。

 次ページの下の図は、LiBのLCAのインベントリー分析の結果をその要素ごとに分けてあらわしたものである。重量構成とは違い大きな変化が出ている。特に顕著なものは、グラフ中黄色で表した製造段階であり、電極の製造段階を意識したものと、単に素材に割り振ってそれを合算しただけのものとで大きな違いが出ているように見える。

 しかし、この「電極の製造」という言葉は、LCAの実施者によって多様に定義されており、中には素材の製造段階を切り取って「製造」に入れるものや、単にアセンブリングでのエネルギー投入を「製造段階」としてとらえるものなどまちまちである。

 「製造段階」問題については、Majeu-Bettez, G.がその論文#Life-cycle Environmental Assessment of Lithium-Ion and Nickel Metal Hydride Batteries for Plug-in Hybrid and Battery Electric Vehicles”のなかで “manufacturing” の問題としてその28-29ページで提起している。すなわち、”manufacturing”には二つあるのではないかというのである。ひとつは”material production”のmanufacturingであり、LiBに用いられるpure material にするためのmanufacturingであり、refinementに相当する。もうひとつが”battery manufacturing”であり、これは主としてassemblingに相当する部分である。

 これをわかりやすく言うと、電極活物質をペーストにしてフィルムにし、電極を構築していく部分は、電池工場で行われるプロセスであるが、これはbattery manufacturingであり、そのエネルギー投入が環境負荷に影響を与える。実は、その電池工場に来る前の工程で。電極活物質はペーストにしやすいように生成されており、それがmaterial manufacturingてあり、その原料となるraw materialsとの間にこの工程が入り、エネルギー投入で環境負荷がもたらされている。これらが一緒くたにmanufacturingとして表現されることで、あいまいになり大きな違いが生じるということである。

 すなわち

上図の上側に表すように、LiB工場でのLiB工場でのLiBの製造工程をmanufacturingととらえていたが、実は下図のようにLiB原料を調精するmaterial manufacturingがあり、そこを含めてmanufacturingと考える必要があるということである。

これらを踏まえて、以降これまでのLiBのLCAがどこまでプロセスをきちんと記述できているかを見ていってみよう。

1-3 これまでのLIB LCAのインベントリーの例
1-3-1  1997産業技術審議会レポート

竹原善一郎 京大名誉教授が主査 LiBを以下の構成でとらえている

対象範囲を以下のように設定

上流側を詳しく見ているが、「素材製造」→「電池製造」は単純化、これは当時のLCAが自国内の経済に着目した Gate to の発想から Cradle to Gate,への発想が強調されていたところに起因するとみられる。

 かれらは市販のリチウムイオン電池を分析し、次ページの構成を得ている。

さらにこれを構成フローとして次のページのように表して、最終的な投入原材料を求めている。

つぎに製造プロセスをどう取り組むかであるが、

かれらが製造のプロセスをどうとらえているかを整理すると、正極についてみるならば、まずNiと硝酸が初期原料で、そこに電力1がかかってニッケルの酸化物が得られ、それに水酸化リチウムが酸素を付加しながら乾式混合され、焼成、粉砕される。このプロセスに電力2がかかる。得られるのはリチウム酸ニッケルで、それが導電剤(ケッチェング・ラック?)と結着剤(ポリフッ化ビニレデイン)および、NMP溶剤とともに混錬され、そこに電力3が投入される。なお、NMP溶剤は次工程から循環使用されているとしている。混錬されたものは集電体(アルミ箔)上に塗布・乾燥されそこに電力4が投入される。このとき揮発?したNMP溶剤は回収再使用されるとしている。その後、電力5をかけてプレスし、電力6をかけて切断したものをアルミ板の正極タブとポリプロピレンの絶縁テープとともに正極集電体とし正極にするとしている。ここにも電力7がかかる。

 負極はピッチからスタートし、電力11をかけて難黒鉛化性炭素とし、そこに結着剤ポリフッ化日にれディンとNMP溶剤を加え、電力13を投入して後は塗布乾燥、プレス、切断とつづく。そこにも電力14,15,16,17が投入される。

 もちろんLIBは電極だけでなく、セパレータも必要であり電解液も必要である。電池になるまでの工程を彼らは以下のように記述している。

すなわち、電池化の工程の出発は、先述の正極、負極とポリエチレン製のセパレータ、それに中心となる鉄の心棒であり、それがPPの槇留テープを使って電力21で巻きとられる。 それをアルミ製の外板とPPの底部絶縁版からなるよう木に電力22をかけて封入、負極の底部が電力23をかけて溶接され、さらに電力24をかけながら上部蓋部が採りつけられ、電極注入口が溶接される。そこにも多様な材料が使用される。そして電解液が電力25をかけて注入され、そのごPPの正極端子絶縁版をつけながら電力26で封口、洗浄し、PEの外層フィルムを電力27で外挿し、さらに出火力28でエージングし、さらに電力29をかけながら検査をして単電池となる。なお電解液はLiPF6と主溶媒(PC)および副溶媒(EMC)を電力31を混ぜて混合している。

 実はこの工程の中で見落とされているものが二つある。リチウムイオン電池の電極の処理工程は汚れ、特に水分を嫌うために、一連の作業を高度なクリーンルームの中で行わなければならない。クリーンルームを作り、維持するためには多大なエネルギー投入が必要となる。この部分がプロセスフローだけを追っていたのでは見えなくなってしまう。

 もう一つは歩留まりである。せっかくプロセスフローのなかに検査を入れておきながら、検査の通過率がどのくらいなのかが検討されていない。完全に開示されたデータはないが、先述のプロセス管理のきびしさからかなりの部分がロット単位で検査不合格になっている可能性が高い。

 この後のLCAの処理に進もう。彼らはCO2の発生を二つの要素からとらえている。ひとつはプロセスのエネルギー消費ともなうCO2発生であり、今回の場合はすべてが電力であるので、電力勇気のCO2を計算している。もう一つが素材の製造に伴うCOである。 この発想は基本的に製品はものとエネルギ゛―と労働の産物であるから環境負荷という観点で労働を除いた二つを取ることは間違いではない。ただエネルギーが先述のようにフローに伴う部分のみを加算していっているのは不十分であり、モノがすべてが100%製品になったとして、不合格品や廃棄物などをフローから無視してしまっているのも問題である。

 まず、工場でのエネルギー由来をみてみよう。上図が彼らが得た結果であり、その情報源は明らかにされていないが、委員会のメンバーからして実操業のデータを反映させたものと考えられる。

 結果としては、電力2すなわち、ニッケル酸化物と水酸化リチウムからLiNiO2を得る工程が全体の71%、45kWhLiBに対して618kgのCO2を出している計算になっている。LiNiO2の量は86.8kgであるから、LiNiO2の1kgあたり7.1kgのCO2を出していることになる。ついで高いのが負極の製造工程で負極1kgあたり1.06kgのCO2となっている。

 一方で素材の方は、下表のような結果が得られている。

一番CO2発生に関与しているのは、LiOHで615kgでありその原単位は25.9、続いて大きいものはプラスチック系の樹脂となっている。また資源の採取・輸送についても検討しており、採取輸送のCO2発生は351.8kgその中で支配的なものは、原油の輸送での重油消費256.9kgCO2、採取でも資源全体で80.3kgCO2であるがそのうち原油分は52.3kgCO2であるとしている。

 ここで彼らは、素材の汎用素材への置き換えという反則を犯している。特殊素材はデータの入手が難しいために、それをデーの入手しやすい汎用素材で置き換えるという計算上の便宜性である。しかしそれは、本来特殊な目的のために技術やエネルギーが投入されたものを、アンダーエスティメイトしてしまうというミスリーディングな結果をもたらしかねない。

そのような弱点も内包しつつこれらの結果を総括すると

となる。重量あたりにすると 2756/338=8.15kg-CO2/kgである

まずこれを一つの結果として見ておこう。

1-3-2 東京都市大学

次に、東京都市大学の伊坪研究室でのLCAを見てみよう。

これは自動車用ではなく、680mAhの3.7V,23gの角型LIBを対象としている。

まず

図のように先のLCAでは31%を締めたプロセス部分の重要部分を検討のシステムバウンダリーの外においてしまっているのは大きく信頼性を失わせるところである。

 さらに、評価対象物質を締めたJEMAIのデータベースにあるものに限定し、対象物質の置き換えを行っている。

データは、コバルトなどの金属系ではエコマテリアル・フォーラムの汎用素材のデータが用いられており、焼成データに関しては特別に計算したようであり「酸化コバルトと炭酸リチウムの合成反応におけるCO2排出量のみ計上した」との記述がある。

 電解液データは実は戦術の論文のデータが引用されていた。

 面白いのは組立工程であり、LCAフォーラムのデータベスでの電池一個あたりの組立ユーティリティーとして、以下のものが用いられている。

電池製造に関わるインベントリー情報はこれだけであるが、その結果、他のライフサイクルを含めたものとして全体のLCAを進めており次ページの図のような結果を得ている。

 気にかかるのは組み立て部分の割れ合いの大きさであり、先述したようにプロセスの多くの部分をシステム外においておきながら組み立て部分が、先の産業技術審議会の比率より大きくなっていることは不思議である。

 他のライフステージを含むものの素材部分のデータとしては次ページの図のような結果が記されている。

LiPF6などと比べてプロピレンカーボネイトの割合が大きくなっているのは、電池の種類や組成の変化に依存するものなのだろうか全体の信ぴょう性にも疑問を呈せざるを得ないところである。

1-3-3 慶応大学

慶応大学のグループも電気自動車のLCAの中でLIBの環境負荷計算を行っている。

彼らは、先の産業技術審議会との対比を以下のように明らかにしている。

さらにインベントリー計算をするための手法として産業連関表を用いている。

すなわち、まずLIB生産に必要なそれぞれの構成素材の需要を得て、その需要に対する波及をCO2発生という視点から産業連関表を用いて計算するのである。

 まずそのためには、LIBあたりどけだけの需要が発生しているか、つまり構成素材とそれを得るための原材料の量が必要となる。

この表にはプロセスも含まれており、

その詳細は公開されていないが 全ライフサイクルの中でのLIBのCO2発生寄与は

という結果が与えられている。

 LIBは672kgであるから 10.7kgCO2/kg となる。 先の産業技術審議会のものに対してやや高い値になっている。

海外の例を見てみる

1-3-4 ValendiaのLCA

簡単に既存のデータベースを使った例として。2017年のValendia,J.らのEnvironmental effects of Li-ion battery cell manufacturing in Brazil: A life cycle assessment approach.がある。こりは主としてブラジルの電力事情に合わせた解析を行ったものである。

 Cellの構成は以下のようになっている。

ここにSimaproを適用しており、そこではCO2の観点ではアルミニウムの箔のコントリビューションが大きいという結果になっており、LM cathodeの寄与は小さくなっている。これを構成要素ごとのCO2原単位比に相当するintensityで見ると左表のようになり、LiPF6が突出しているもののLM cathodeは銅並みでしかなく、技術的集約度の高いセパレータもそんなに大きな値になっていないものが使われていることがわかる。

1-3-5 Liのシリコンナノワイヤー負極LiBのLCA

2013年のLi,B.らは Life Cycle Assessment of Lithium Ion Batteries with Silicon Nanowire Anode for Electric Vehicle ということで、シリコンナノワイヤ―・アノードという特殊な構精材を組み込んだLiBのLCAを行っており、基本的にはGabiのテータベースを使っていながらも、新規な構精材は当然既存のデータベースにはないため、データを追加してLCAを行っている。

図がその適用状況で、青がGabiデータベースを用いたもの、黄色がLiらが理論的もしくは工業データとして用いたものである。

 シリコンナノワイヤ―のデータは、Li自らの実験室規模でのデータから得ており、購入したシリコン粉末をアセトン、エタノール、脱イオン水で多段に洗浄し吸着有機物を落とすところから検討対象に入れている。その後NH3/H2O H2O2/H2O (体積比1:1:5)の沸騰水に10分間処理し、さらにSiO2層を次の方法でエッチングして羽毛状多孔質物を得ている。すなわちpolytetrafluoroethylene (PTFE)ビーカーに入れてH2O,HFおよびAgNO3の1:1:3溶液に入れ銀メッキを30秒施し、H2O2をゆっくり加えてポーラスシリコンを得て、さらに真空炉で乾燥し、硝酸で15分脱銀している。これをカーボンブラックとCMC glueに8:1:1で混ぜ5ミクロン厚の銅箔にコートして電極としている。このようにプロセスの詳細は書かれているが、この場合のエネルギー消費などには論文では全く触れられていないし、シリコンパウダーの製造を考慮しているかも不明である。

セパレータについても、PEのドライプロラスでblown polymer filmをラミネイトし、融点下でアニーリングをして急速にストレッチをかけポロシティーを40%にするようにしている。厚さは20ミクロンで密度は0.2g/ccまで持っていくとしているが、エネルギーなどに関する記述はない。

 この結果CO2でみると material extraction 15% material processing 45% component manufacturingが3% battery manufacturing が7% battery use が27% のこりがEnd of life で5% と大まかなところなっている。200,000 km during its 10 yearsを対象として 90%チャージ効率で 164.8wh/kmだから 36.6Gwh 日本の電力として 16.4t-CO2になる これが27%だから全体で 60ton CO2   material extractionが 9ton material processing が27ton になる。なお、単位は 120kgの43.2kwhバッテリーであり、バッテリー1kgあたり material extraction 75kgCO2 material processing 225kgCO2となっている。

1-3-6 VandepaerのLCA

Vandepaer, L. は「Environmental impact of Lithium Metal Polymer and Lithium-ion stationary batteries」でLiBとリチウムメタル電池のLCAを行っているが、インベントリーは基本的にMajeau-Bettezの論文のものを用いており、具体的な記述は全くない。結果として、75kwh級LiBのGHGインパクトは34kgCO2で使用段階が13%に対し、コンテナが6% バッテリー製造が78%とはじき出している。

 

彼の問題意識は、LiBの種類の違いや使用条件の違いが各種の環境負荷にいかに影響を及ぼすかであり、LiB製造のインベントリーについてはあまり配慮もしていないしあまり考察もしていない。用いたデータもオリジナルなものではなくMajeau-Bettzらのデータを用いたとしている。

1-3-7 NTNU Majeu-BettzのLCA

 ではそのもとにもなっているノルウェー科学技術大学(NTNU)のMajeau-BettzらのLiB製造のインベントリーを見てみよう。この論文は二つの点で注目すべきである。ひとつは、ライフサイクル全体を通してのエネルギー供給という視点であり、これは前章の冒頭の記述においても参考にさせてもらった。もうひとつは「material manufacturing」とは何かと問いかけ悩んでいることである。

まず彼らはバッテリーの構成を以下の図のように整理している。

そして電池製造と重要な電解質および電極物質について次のようなプロセスフローチャートを作っている。

この図だけみると取り立てて新しいところはないが、実はひとつひとつのプロセスに対して他よりも詳しい記述をしている。まず、電池の製造において200-250μmの薄膜がスラリーとして塗布され乾燥されており、そこに陰極、陽極、セパレータが積層膜構造となっておりその構造を得るためのエネルギー要求を次の表のようにまとめ、さらに輸送やインフラのデータがHishierらのものから参考にできるとしている。

 正極材については、活物質および5-10%のバインダー、それと4-10%のカーボンブラックをとりあげている。NMCの製造においては

Ni0.4Co0.2Mn0.4(OH) + LiOH・H2O + 0.25O2 →  LiNi0.4Co0.2Mn0.4O2+2.5H2O

の総括反応が 450℃12hの予備焼成と 800℃8hの 本焼成の二段階でできるとして、それが8300リットルのNaberthern W83000/85A の炉で行われ800℃焼成では100kW、450℃焼成では12.5kWのエネルギーで炉の効率を33%として1リットル当たり1MJが必要と計算している。そして比重から0.55L/kgとして焼成段階でのエネルギ消費 0.55MJ/kg を得ている。

 このインベントリーは輸送なども含めて下図の表のように公開されているが、

一番下のemissionのwaste heatとしてまとめられている数値が二桁大きくなっているのが気にかかる。ちなみに他の表では、エネルギー消費とemissionのwaste heatは一致した値になっている。

 さらに解析の対象とされているのは合成だけであり、LiB級にするための不純物の除去のプロセスについては全く考慮されていない。

 彼らは、さらにNMCの水酸化物の製造プロセスも検討している。ここでは、NiSO4, CoSO4等の硫酸化物はそれぞれの金属の製造プロセスの中間段階から製造されるとしているところに特徴がある。

 すなわち、ニッケルを例にとると、上図のようにニッケルの金属を得る製錬プロセスのデータ(図の黄色の部分の総和データ)は既存のLCAデータベースから得て、その中から図の赤の部分のニッケルの金属としての製錬精製にかかわる部分を超え除する形で硫酸化原料のデータを得て、そこに硫酸浸出の情報を加えている。

 ここでも不純物管理がどこで行われているのかは全く考慮されていない。不純物管理の視点でいうならば、最も不純物が除去しやすい金属の状態に持っていき、さらにそこにエネルギーをかけて不純物を除去したのち、浸出して硫酸化物にする方が妥当であろうかと思われるが、ここではそれについては何の考慮もされていない。なお、インベントリーデータの一部で金属の製錬精製に関する控除分は文献中でTableS21-S23に公表されてはいるが、何が製錬精製のどのプロセスに相当するかが明らかでなく、妥当性を検討することは難しい。

 負極のグラファイトに関しては、グラファイト中の不純物酸素に言及しており、不活性雰囲気中で1100℃でベークするとは記述している。しかし、エネルギー原単位はアルミニウム工業の炭素電極のベーキングデータ(4.8-5.2MJ/kg)を転用しており、類似品による完全なアンダーエスティメイトが行われている。

 セパレータに関しても単なる絶縁物ではなく多孔性のポリマーであるところまでは言及し、PAN(polyacrylonitrile)とセラミックのコンポジットが用いられていることにも触れているが、主成分のPEとPPが1:1で用いられているとしてその汎用品物質重量に還元してしまっている。

1-3-8 Chalmers OlofssonのLCA

Chalmers では2013年にLIBのLCAを行っており各種のLiBを比較する中でNMC-graphite系も取り上げており、そこでは正極活物質のCtG( cradle to gate)製造エネルギーが約25-30MJ/kgcellと一番大きく、次いで正極フォイルの約20MJ/kgcell、負極活物質約10MJ/kgcell、電解質約8MJ/kgcellという結果を得ている。

 この報告の特長は、NMC活物質の製造を湿式(wet)のケース乾式(dry)のケースと二つの異なった製造方法両方を見ていることである。

 乾式では焼結法が用いられ、ナノサイズへの粉砕が重要とされており、数値は明らかにされていないがChoらのデータを用いている。しかしChoらの研究論文はプラスチックの0.1ミクロン以上のサイズへの粉砕であり、無機物質とは大きく異なるのではないかとも予想される。また、焼結データもITOの焼結データを転用しており、その妥当性が問われる。

 湿式については水熱合成がナノサイズのものを生成するために粉砕などの必要もなく、ここが主プロセスとしてMyungらの論文から計算したとしている。ちなみにMyungらの論文では170℃で7日間保持している。

 負極のグラファイトに関しては、この論文だけがLiB級ということに言及しており、通常の製法に対して40MJのhard coke coalが追加して必要と述べているが、その40MJがどのような単位のもとに計算されているかは不明である。

またChalmersの仕事も他と同様にセパレータはPEとPPのミックスであるとして終わっている。

1-3-9 Argonne SullnanのLCA reviewsとDunn のLCA

 Argonneでは2010年にSullnanらが二次電池のLCAを行いLiBはCtGのエネルギー消費で200MJ/kg CO2は平均で12.5kgCO2/kgという値をreviewとして紹介している。そこでも登場しているのがGREETである。GREETとはGreenhouse gases, Regulated Emissions, and Energy use in TransportationでありArgonneがDOEのサポートのもとでLCAのツールとしてそろえたものである。Argonneは他方で BatPaC ( Battery Performance and Cost) モデルも開発しており、このLiBという先端分野へのLCAのより優れたインベントリーを得ようとの努力をしている。なお、2010のレビューではGREETを用いたLIBのCtGのCO2は7.2kgCO2/kgと平均より小さな値になっている。

 以降Dunnが中心となりLiBのCtG LCAを行っているが、まず2012年に「Material and Energy Flows in the Materials Production, Assembly, and End-of-Life Stages of the Automotive Lithium-Ion Battery Life Cycle」が発表されている。

 そこでの対象は LiMn2O4を活物質としたLIBであるが、マテリアルプロダクションのひとつひとつの構成要素に対して式を多用して細かくインベントリーを調べているようにみえる。しかし、実際は、体積と密度からの重量の計算であったり、比熱の計算であったり、さらにはlime等の汎用品の製造にかかわるデータなどで、役に立つ部分は見た目より少ない。

 グラファイトに関しても、800℃から1000℃のベーキングと3000℃のgraphitizationには言及しているが、この研究ではアルミニウム電解の電極製造のデータを使ったとしている。ちなみにそれは、右のような値であり、mmBTU(百万英熱量単位)は293kWhつまり1.055GJに相当する。さらに0.79トンの石油コークスと0.21トンのhard pirchが 1トンのグラファイト生産に必要になり、それをGREETのデータにしたとも述べている。

 石油コークス熱量35.6MJ/kg hardpitch cokes 18MJ/kgとして 32MJ/kg もとが 2.7MJ/kg であるから 39MJ/kgになる計算である。

 活物質はこの場合LMOであるが、プロセスとしてはその製造段階までよく遡及しており、Li2CO3については約 10MJ/kgのCtGエネルギー消費になる。

 Mn2O3のCtGを得るにあたっては 800℃での焼成に関するデータが必要として、異なる炉での焼成温度と処理量トン当たりの燃料消費の関係を以下のようなグラフにして、約2.5MJ.kgの熱消費の関係を得ている。

 このアプローチは興味深いが、対象が異なるということは処理時間も異なっており、それが反映された関係とはいいがたい。 なお、

 2MnCO3 + 1/2O2 → 2CO2 + Mn2O3 + H2O

として 発生するCO2もストイキオメトリーな量として505.kg/kgMn2O3が積算されているとのことである。

 活物質の合成は、

上記のプロセスで検討され、0.11kgCO2/kgLMOとの結果を得ている。

 これらは一見プロセスの詳細を調べているかのように見えるが、これまでのものと同じく不純物の除去管理のことが考慮されておらず、さらに生成物の粒度や性状が考慮されない汎用品のプロセスとなっている。

1-3-10 Argonne 2014 Dunnの電極以下ベントリー

 ArgonneのDunnらはこれに引き続く2014年にLiBの電極材料に注目したより詳細なレポートをだしており、約135MJ/kgのCtG energyであり、その中の40% はNiO製造プロセスによるとしている。

 まず対象は下図のようになっている。

NMCの活物質製造は図の下の青の部分であり、混合、粉砕、ペレタイズ、予備焼成。再粉砕、再ペレタイズ、そして過熱のプロセスが含まれる。これを彼らは熱システムのみに注目し、炉にかける熱と反応物にかける熱に分け、反応物では反応そのもののエネルギは無視して、温度上昇の比熱のみを計上し、炉についてはMajeau-Bettzらの計算に基づき、一連のプロセスが効率33%の8300Lの炉で行われるとして、その入熱量と時間を予備焼成と最終過熱に関して計算して合算している。

 それを図にまとめたものを次のページに示す。

 このNMCの原料となる Ni0.4Co0.2Mn0.4(OH)2 を得るプロセスであるが、硫酸化物を原料として2/3mole/Lの硫酸化溶液にNaOHがストイキオメトリックな量添加され、さらに0.24mole/Lのアンモニアとともに連続攪拌タンク反応器 Continuous Stirred Tank Reactorで60℃で反応するとして、そのために必要なエネルギーを計算している。

 その概略は上図のようになっており、反応熱は無視されて主要なエネルギー消費は炉の熱拡散になっており、このプリカーサの製造で 約8.8MJ/kgのエネルギー要求となっている。

 硫酸ニッケルなどの製造であるが、ニッケル製錬の中途段階であるニッケルマットをroastして酸化物にしそれを硫酸で浸出する乾式プロセスと、ラテライト鉱石そのものを硫酸浸出する湿式プロセスがあるとしている。GREETではまずニッケル酸化物を得てそれを硫酸(9.82wt%)て49℃で浸出するプロセスを対象としている。ここでも反応に対するエネルギーは無視し、溶媒である硫酸と、NiOの室温から49℃に過熱するに必要な熱量を80%の熱効率として比熱を用いて計算し、この過程でのエネルギー要求は約0.66MJ/kgという結果を得ている。Co, Mnについても同様であるが、LiB級の不純物管理がこれらの取り扱いの中に含まれていないことはDunnも気づいており、今後の課題としている。

1-4 現在のLiBのLCAインベントリーの課題
 1-4-1 material manufacturingと品質の問題

 これまで見てきた中で、すでにLCAの実施者が戸惑いながら問題を提起しているものが二つあった、それは Majeau-Bettzによるmaterial manufacturingの問題と、DunnによるLiB級素材の問題である。

 実はこの二つの問題は実は密接に結びついている。material manufacturingは前にも示したように下図の下部の赤色で示した素材の調精部分に相当する部分が、LiBの組立製造プロセスの中で計上されているのか、それとも素材の提供プロセスの中で計上されているのかという問題として提起された。

 実は、それはDunnが「素材をLiB級にする工程が入っていない」として今後の課題としたように、実はどちらにも計上されていなかったのである。

 LiBは高度に精製された材料と高度に組み合わせられた製造技術のたまものであり、どこにでもある材料をアセンブルしてできるものではない。その最も魂に属する部分がこれまでのLCAではほとんど取り扱われることなく進められ、大きなアンダーエスティメイトを行っていたといってよい。

 そもそも、製錬のプロセスにおいて目的元素の抽出は極めて容易なプロセスであり、技術開発の歴史はその不純物との戦いであった。鉄鋼にシリコンとマンガンがごくわずか必ず含まれるのは、わざと入れているわけではなく、それを精製で除くことが今になってもできないから、妥協の産物としてシリコンやマンガンの残存する系での製品の標準化を進めてきたからである。また金は容易に還元しやすい物質であるが、混在物を取り除くために水銀アマルガム法や青化法などという環境負荷の高い方法で、わざわざ金属になっている金までも溶かして不純物を取り除く。これを金の還元エネルギーと炉の効率だけでエネルギー要求を議論すると、数ケタのけた外れの議論になってしまう。

 教科書的には製錬は還元などの物質転換の工程であるが、実工程としては下図のような不純物管理の工程であり、操業条件や投入エネルギーもそれによってきまる。

さらに、実際のプロセスを設計するときには、下図のようなチェックが問われるが、素人はついつい赤の部分のみを考慮する。

しかし、実際にプロセス量を支配するのはピンクで書かれた混在物、廃棄物、混入物である。

 LiBにおいてはこの不純物の管理がその成否を握っているといっても良いのだが、残念なからいままでそれを考慮したLCAはないといっても差し支えない。容器包装など汎用素材構成品を対象にして、その質をほとんど問わずに済んだ量の製品のLCAで、高付加価値の機能と質を持つLiBのLCAが行われているのが現状でり、まだLiBのLCAは本質を議論できるところにまで育ってはいない。

1-4-2 ハイテク製品のLCAでは許されない置き換え問題

 量のLCA、汎用品のLCAではミスディレクションをおこす恐れがあるものとして、もう一つの問題を指摘しておく。それは、新規や不明な構成要素の置き換えや無視の問題である。

 ここに示したのはよく見られるLCAのインベントリーツリーの例である。

まず黄色い部分が、たぶん使用量の少ないモノであろうが、「その他」としてまとめられ、結局環境負荷に関わる数字は与えられないで積算されていく。これば容器包装などであるならば、その無視による影響は小さいかもしれないが、ハイテク製品の場合は、量的に小さなものでも資源やエネルギーの集約度の高いものが多様にある。例えば自動車の中における電装品に使われる金や排ガス触媒の白金族は自動車の重量からすると「その他」に入れたくなるような量だが、環境インパクトは鉄の数千倍以上大きくLCAにおいてそれは無視できない。ハイテク製品においてはそのようなものが多数あり、その多くは「その他」の中に埋もれてしまう危険性がある。

 次に、緑のアルミ箔をアルミで置き換える例だが、アルミ箔はもちろんアルミを原料としているが、LiBに使えるような高品位、更新精製の極薄膜にするために製錬の段階から別ルートで不純物管理がなされ、さらに何度もロールにかけられたエネルギー集約度の高いものである。これを汎用のサッシに使うアルミと一緒にしたのでは話にならない。ましてやピンクで書いたセラミックを単純に良く知っているセラミックであるアルミナで計算しようなどというのはもってのほかである(セパレータにセラミックコートが使われているということを触れたLCAはほとんどなかったので、それでもましかもしれれないといったレベルだが)。

 そして、先述のmaterial manufacturing,すなわち調精工程ともいうべき部分に関係するのが灰色で表したLi2CO3である。この図のLi2CO3は果たして同じ品質のものを言っているのか。実は必要品質に合わせるためにもう一行程必要なのではないか。検討を要する部分である。

 このように、汎用製品型のLCAのインベントリーの手法をそのまま延長してLCAを行ったのでは、技術的に重要な部分が無視されて、LCAの解釈におおきなミスディレクションを起こしかねない。しかし、多様な新規物質や新規の構成要素を含むハイテク製品に対して、一つ一つの構成要素とその素材の品質のまで注意したLCAのインベントリーを行うのは、相当な労力と時間を要する。そこで、提案するのがこの後の章に述べるtwo step LCAである。

 そこでは、第一ステップで粗い汎用素材型LCAを行い、そこから重要な構成要素を絞り出して、その部分に対して集中的に品質も考慮した精密なLCAを行うのである。以下次の章に移ろう。

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