都市鉱山メダルをレガシーに

2020東京オリンピック・パラリンピックの金銀銅の表彰メダルは、みんながリサイクルした使用済みのスマホや携帯、小型家電などのみんなの「都市鉱山」から作成されます。みんなの思い出のあるものが努力を重ねたアスリートの胸を飾るとは、それをほめたたえる皆さんの心も届きすばらしいことです。

 このメダルのための携帯や小型家電をあつめる「みんなのメダル・プロジェクト」が100%の目標を達成して無事完結したことが7月11日に組織委員会から発表されました。

 自治体を通じた小型家電回収では7万8985トン、ほかに携帯621万台があつまり、そこからメダル5000個を作成するに必要な、金32kg、銀3500kg、銅2200kgがリサイクル事業者などの手により精製され組織委員会に寄付されます。

オリンピックはこれからメダル製造に入りますが、都市鉱山メダルはこれで終わったわけではありません。携帯やスマホなどを回収する小型家電リサイクルは引き続き継続しますし、東京オリンピック事態もそれに向けた取り組みをレガシー(未来に残すもの)として様々な形で社会に定着させることを謳っています。「都市鉱山メダル」は、オリンピックを契機に始まりますが、それをレガシーとして社会に定着させることが重要なのです。

 では、社会にどのような形で残していくか、一番わかりやすいのは、同じようなメダルとして、国体やマラソン大会などの地域イベントのメダルとして定着させていくことです。オリンピックのメダルと同じように優勝者を称えることを通じて直接出場できない人も幅広くイベントに参加できることにもなり。またリサイクルの普及という点でもリサイクルしたものがみんなに喜ばれるところで使われている姿を見せることができます。

 また、このメダルを、鋳造、圧刻、研削、鍍金などに地元の産業が協力することで、リサイクル業だけでなくより幅広い取り組みにしていくこともできモノづくりの町興しにもつなげていくこともできます。さらに、パソコンなどの解体には福祉事業や雇用の促進と結び付けた取り組みも考えられます。このように都市鉱山メダルの取り組みは、モノを廻すだけてなく人のつながりも作っていく可能性があります。

 都市鉱山メダルをレガシーにしていくことは、小型家電リサイクルを定着させ循環型社会の形成を大きく支えるとともに、資源効率を向上させかつ電子廃棄物による国際的な環境汚染を防止するだけでなく、新しい形の地域コミュニケーションを形成する可能性も持っています。

 都市鉱山メダルをレガシーにする運動を皆さんとともに進めたいと思います。

              (一社)サステイナビリティ技術設計 代表理事
                            国立研究開発法人 物質・材料研究機構 名誉研究員
                                                                                   原田幸明。