は予備的LCAの使用例を示します。
身近な日常生活関連で示してみます。
1. 製品製造型 (クイズ即答練習用早押しボタンを例に)
製品製造型は、製品の製造を目的とする場合で、ほとんどの製造現場でのLCAはこれに該当します。また、このタイプはアセンブリング・タイプとも呼ぶことができ、いろいろな部品を集めてそれを組みたてて製品にしていきます。その部品の工程が、管理下にあり要素プロセスになっている場合もありますが、部品は買い集めるだけで、詳細が簡単にはつかめないケースも想定されるのがこのタイプです。
ここでは、簡単にするために、工場よりも日常的なものを例にしてみました。それは、かなり前に筆者が自作した「クイズ即答練習用早押しボタン」です。
この「クイズ即答練習用早押しボタン」は複数のボタンを競って押すと、押されるとスピーカーが鳴り、一番早く押したところにLEDがつくというもので、昔はリレーとロジック回路でしたが、今はマイコンにボタンがつながり、どれが短絡されたかでマイコンからLEDに指示が行く仕組みになっています。
基本構成として、ボタン、スピーカ、LED、マイコン、基板、インターフェイスがありはんだ付けした実装基板を、プラの箱に組み込みます。
この過程をプロセスフローで表すと、下図のようになります。
単純には、部品を買い集め、はんだ付け(p4)して、箱に組み立てる(p0)だけです。今回の考慮の対象としては、「共通」として室内のエアコンディショニング(p1)を入れ。さらに購入時に工場ならば「搬入」に相当する部分をと、「宅配便購入」(p2)と「買い物購入」(p3)に部品購入販路を二種類にまとめてみました。
これらを「試行」の表に入れていきます。
a) 対象システムと構成プロセス
b) プロセスがどのような部材を引き渡しているか 相互関連をいれます。
c) こんどは プロセスから見て、どの部材を入力し、どの部材を出力しているかを入れます
これで、部材の流れと整合して、各プロセスがどのくらい稼働しているかが確認されます。
d) 「インベントリー」入力を押して、それぞれのプロセスに投入されているインベントリーを入れていきます。 このとき、コードを正しく入れているかが重要になりますので、入れ方は「使い方」を参考にしてください。
e) すべて入れ終わって「計算」を押します。
全体およびプロセスごとのCO2とTMRの概算が出ます。
ざっと見て、部品の購入の部分での負荷が多いですね。これには、各部品のフットプリントと購入にかかわる輸送が含まれています。
次の表では、そのプロロセスごとの投入毎に数値が出ています。
なんとCO2で一番大きいのは 宅配の部分。本格LCAでは部材購入のための輸送は必ず考慮しないといけないということです。コネクタ、基板、マイコン、SDスロットなどやはり本格LCAではきちんとサプライチェーンを追いかける必要が見えてきます。一方ではんだやLEDは無視できそうですね。
ということで、この結果をもとに本格LCAに進んでいきましょう。
2. 処理タイプ
製造では、産出品がそのシステムの目的ですが、廃棄物の処理やリサイクルの場合は産出されるものより、受け入れて処理するものが基準になる場合があります。
ここでも身近な日常例として、生ごみ処理機を導入したケースを考えてみましょう。プロセス構成は以下のようになります。
装置は3万円で5年間使用、生ごみを一人暮らしの4日分にあたる1kg処理してプランター用土にする。その際、水切りネットが1回ごとに消費され、脱臭フィルタ2000円は半年交換なので4日だと44円分消費している計算になる。
で計算させると、
負になっているのは、処理で基準が負だからで、絶対値を注目すると、使用電力の寄与が大きいことがわかります。また脱臭フィルタも処理装置(表中には脱臭装置)本体と比べて大きくなっています。水切りシート(ネット)は無視できるようです。