EUサーキュラーエコノミー新アクションプランの和訳

サーキュラーエコノミー行動計画

よりクリーンで競争力のある欧州のために

#EUGreenDeal

  1. イントロダクション

地球という惑星は1つしかないにもかかわらず、世界は2050年までに地球が3つあるかのように消費をしている1 。 バイオマスや、化石燃料、金属、鉱物など素材の世界的規模での消費が今後40年間で2倍になる一方、年間廃棄物量の発生は2050年までに70%増加すると予測されている

温室効果ガス総排出量の半分と生物多様性の損失と水ストレスの90%以上は資源の採取と加工に起因しているので、欧州グリーンディール4は気候変動に左右されない(気候中立)、資源効率が高く競争力のある経済のための共同の戦略を開始した。サーキュラーエコノミーが先頭を切って走るフロントランナーから経済の主流へと格上げされることにより2050年までに気候中立性及び、経済成長と資源利用のデカップリングを達成し、EUの誰一人として置き去りにすることのない長期的な競争力を確保するための決定的な貢献をする。

この目標を実現するために、EUは地球から採ってくる以上のモノを地球に還元する再生成長のモデルへの移行を加速し、資源の消費をこの惑星の境界(Planetary boundaries)内にとどめる方向に進め、そして、消費量を削減し、循環資源の使用率を今後10年間で倍増するよう努める、必要がある。

ビジネスの場合は、協力して持続可能な製品のための枠組みを創造することに取り組むことでEU内外での新たな機会を創出することができる。

持続可能な経済システムへのこの進歩的でありながら、不可逆的な移行は新しいEU産業戦略の不可欠な部分である。最近の研究では、EU経済全体にわたりサーキュラーエコノミーを適用することにより2030年までにEUのGDPをさらに0.5%増加させ約70万人の新規雇用を創出5することが試算されている。明確な個々の企業のビジネスケースもある、つまり、 EUの製造業は、平均して材料に約40%使い、クローズド・ループモデルを採用すれば収益性を向上できる一方、資源価格の変動には影響をうけにくい。

単一市場の構築とデジタル技術の潜在力の上に構築される、サーキュラーエコノミーはEUの産業基盤を強化することができ、中小企業のあいだで事業創造と起業家精神の育成することができる。顧客との関係性が緊密になること、マスカスタマイゼーションとシェアリングとコラボレーションの経済に基づく、そして、IoT、ビッグデータ、 ブロックチェーン、そして人工知能のようなデジタル技術に支えられた、革新的なモデルは、単にサーキュラリティを加速させるだけでなく、欧州の一次材料への依存度を軽減する。

市民にとって、サーキュラーエコノミーは、効率的で手頃な価格で、長持ちし、再利用、修理、高品質のリサイクルを目的とした、高品質で機能的で安全な製品を提供する。持続可能なサービス、製品をサービスとして提供するモデル、デジタルソリューションなどの新しい分野が、生活の質の向上、革新的な仕事、知識とスキルの向上をもたらす。

このサーキュラーエコノミーアクションプランは、経済関係者、消費者、市民、市民社会組織との協創により、よりクリーンで競争力のある欧州を実現するための未来志向のアジェンダを提供する。この計画は、2015 年以降に実施されたサーキュラーエコノミーアクションをベースにしながら、欧州グリーンディールで求められる変革を加速させることを目的としている6。この計画は、規制の枠組みが合理化され、持続可能な未来のために適合するようにし、人々や企業への負担を最小限に抑えながら、移行による新たな機会を最大化することを確実にするものである。

この計画では、持続可能な製品・サービス・ビジネスモデルを規範化する強力で一貫性のある製品政策の枠組みを確立し、そして、そもそも廃棄物が発生しないよう消費パターンを変革していくために、相互に関連した一連のイニシアティブを提示している。この製品政策の枠組みは段階的に展開され、主要な製品バリューチェーンは優先事項として対処される。廃棄物を削減し、EUが高品質の二次原材料のために十分に機能する国内市場を確保するために、さらなる対策が講じられる。EUの廃棄物に対する責任能力も強化される。

欧州が、単独で行動しても変革を達成することはできないであろう。EUは、世界レベルでサーキュラーエコノミーへの道をリードし続け7、2030年の持続可能な開発目標(SDGs)の実施に向けて、その影響力、専門知識、財源を活用していく。この計画はまた、サーキュラーエコノミーが人々、地域、都市のために機能し、気候中立性に充分に貢献し、研究・イノベーション・デジタル化の可能性を生かすことを確実にする、ことを目的としている。GDPを超えたウェル・ビーイング測定に貢献する健全なモニタリングの枠組みのさらなる発展が期待される。

2. 持続可能な製品政策の枠組み

2.1. 持続可能な製品をデザインする

製品の環境影響の最大80%は設計段階で決定されているが8 、「資源の投入、生産、使用、廃棄 (take-make-use-dispose)」という直線的なパターンでは、製品をよりサーキュラーなものにするための十分なインセンティブが生産者に与えられていない。多くの製品はすぐに分解してしまい、簡単に再利用、修理、リサイクルができず、また、多くの製品は一回限りの使用を目的としている。同時に、単一市場であることにより、EUが製品の持続可能性の世界基準を設定し、製品設計やバリューチェーン管理に世界中で影響を与えることを可能にする、クリティカル・マス(最小限必要とされる市場規模)が提供されている。

EUのイニシアティブや法律はすでに、製品の持続可能性の側面に、強制的または任意ベースで、ある程度まで対応している。特に、エコデザイン指令9 は、エネルギー効率とエネルギー関連製品の一部の循環性を規制することに成功している。同時に、EUエコラベル10やEUグリーン公共調達(GPP)基準11のような制度は、範囲は広いが、自主的なアプローチの限界のため影響力は小さい。実際、EU市場に投入されるすべての製品がますます持続可能性を増し、循環性のテストに耐えられるようにするための包括的な要件は存在しない。

気候変動に左右されず、資源効率が高く、循環型経済サーキュラー・エコノミーに適合した製品を作り、廃棄物を削減し、持続可能性のフロントランアー企業のパフォーマンスが徐々に標準となるようにするために、欧州委員会は持続可能な製品政策の立法イニシアティブを提案する。

この立法イニシアティブの中核となるのは、エコデザイン指令をエネルギー関連製品以外にも拡大し、エコデザインの枠組みを可能な限り幅広い製品に適用できるようにし、循環型経済サーキュラー・エコノミーを実現することである。

この立法イニシアティブの一環として、また、必要に応じて補完的な立法提案を通じて、欧州委員会は、持続可能性の原則を確立し、以下の側面を規制するための他の適切な方法を検討する:

  • 製品の耐久性、再利用性、アップグレード性、修理可能性の向上、製品中の有害化学物質の存在への対応、エネルギー効率と資源効率の向上。
  • 製品の性能と安全性を確保しつつ、製品のリサイクル率を高めること。
  • リマニュファクチャリングと高品質のリサイクルを可能にする。
  • 炭素と環境フットプリントの削減。
  • シングルユースを制限し、早期陳腐化に対抗する。
  • 売れ残りの耐久財の廃棄禁止を導入する。
  • 生産者がライフサイクルを通じて製品の所有権や性能に対する責任を保持する、製品をサービスとして提供するモデルやその他のモデルにインセンティブを与えること。
  • デジタルパスポート、タグ付け、透かしなどのソリューションを含む、製品情報のデジタル化の可能性を動員する。
  • 高いパフォーマンスレベルをインセンティブに結びつけることを含め、さまざまな持続可能性のパフォーマンスに基づいて製品に報酬を与えること。

電子機器、ICT、繊維製品だけでなく、家具、さらには鉄鋼・セメント・化学薬品などの影響力の大きい中間製品など、このアクションプランで取り上げられているバリューチェーンの文脈で特定された製品群に優先的に取り組むこととする。さらなる製品グループは、環境への影響と循環性の可能性に基づいて特定される。

この立法イニシアティブとその他の補完的な規制や自主的なアプローチは、製品のライフサイクルの様々な段階に沿って製品を規制する既存の制度との一貫性を向上させるような形で開発される。製品の持続可能性の原則が、将来的にはより広範な政策や立法の発展の指針となることが、欧州委員会の意図である。欧州委員会はまた、個々の製品グループのための新しいエコデザイン・エネルギーラベル作業計画2020-2024を迅速に採択・実施することを含め、エネルギー関連製品に関する現行のエコデザインの枠組みの有効性を高める。

エコデザイン指令の見直しと、エコデザインの枠組みの下で、あるいは他の制度との関連で、特定の製品グループに関する更なる作業は、必要に応じて、EUエコラベル規則、製品環境フットプリントアプローチ12、EU GPP基準の下で確立された基準と規則に基づいて行われる。欧州委員会は、商品だけでなく、サービスの持続可能性を高めるための規制要件の導入を検討する。生産から使用、使用終了までのバリューチェーンに沿って環境・社会的側面に関連した要求事項を導入する可能性については、WTO規則の文脈も含めて慎重に評価される。例えば、社会的包摂に貢献することに加えて、特定の製品やサービス13 のアクセシビリティを確保することは、製品の耐久性や再利用性を向上させるという付加的な利益をもたらす可能性がある。

さらに、新しい持続可能な製品の枠組みの効果的かつ効率的な適用を支援するために、欧州委員会は以下のことを行う:

  • バリューチェーンや製品情報に関するデータを持つ、スマートサーキュラー・アプリケーションのための共通の欧州データスペース14 を構築する。
  • 各国当局と協力して、特に協調した検査と市場監視活動を通じて、EU市場に投入される製品の持続可能性要件の実施に向けた取り組みを強化する。

エレクトロニクス
情報通信技術(ICT)
繊維製品
家具
インパクトの強い中間製品

2.2. 消費者と公共の購入者に権限を与える

消費者に権限を与え、コスト削減の機会を提供することは、持続可能な製品政策の枠組みの重要な構成要素である。循環型経済サーキュラーエコノミーでの消費者の参加を強化するために、欧州委員会は、消費者が製品の寿命や修理サービス、スペアパーツ、修理マニュアルの利用可能性など、製品の販売時点で信頼できる関連情報を確実に受け取ることができるようにするために、EUの消費者法の改正を提案する。欧州委員会はまた、グリーンウォッシュや早期陳腐化に対する消費者保護をさらに強化し、持続可能性ラベルやロゴ、情報ツールの最低要件を設定することも検討する。

さらに、欧州委員会は、新たな「修理を受ける権利」の確立に向けて取り組み、例えばスペアパーツの入手可能性や修理へのアクセス、ICT(情報通信技術)や電子機器の場合はアップグレードサービスへのアクセスなど、消費者のための新たな水平的な物質的権利を検討する。より循環型の製品を提供する上で保証が果たす役割については、欧州委員会は、指令2019/77115の見直しに関連して、変更の可能性についても検討する。

また、欧州委員会は、企業が製品と組織の環境フットプリント(Product and Organisation Environmental Footprint)の手法を用いて環境主張を立証することを提案する。欧州委員会は、これらの手法をEUエコラベルに組み込むことをテストし、耐久性、リサイクル性、リサイクル含有量をより体系的にEUエコラベルの基準に盛り込む予定である。

公的機関の購買力はEUのGDPの14%を占めており、持続可能な製品の需要を強力に牽引する役割を果たす可能性がある。この可能性を活用するために、欧州委員会は、セクター別の法律でグリーン公共調達(GPP)の最低義務基準と目標を提案し、公的購入者に不当な行政負担を強いることなく、グリーン公共調達(GPP)の導入状況を監視するための強制報告を段階的に実施する予定である。さらに、欧州委員会は、GPPの実施にコミットしているバイヤー間の交流を促進する「気候と環境のための公共バイヤー」イニシアティブへの参加を奨励し、ガイダンス、トレーニング、グッドプラクティスの普及を通じたキャパシティビルディングを引き続き支援していく。

公的機関の購買力はEUのGDPの14%を占める

2.3. 生産プロセスにおける循環性 サーキュラリティ

サーキュラリティは、気候中立性と長期的な競争力に向けた産業の幅広い変革に不可欠な要素である。サーキュラリティは、バリューチェーンや生産プロセス全体で大幅な省資源を実現し、新たな価値を生み出し、経済的な機会を生み出すことができる。産業戦略16 に示された目標との相乗効果により、欧州委員会は、以下の方法で産業界の循環性をさらに高めることを可能にする:

  • 産業排出量指令17 の見直しに関連して、産業プロセスの循環性をさらに促進するためのオプションを評価し、今後のベスト・アベイラブル・テクニック(BAT)の参照文書に循環経済の実践を統合することを含む。
  • 産業界主導の報告・認証システムを開発し、産業共生の実施を可能にすることで、産業共生を促進する。
  • バイオエコノミー行動計画18 の実施を通じて、持続可能で循環型のバイオベースセクターを支援する。
  • 資源の追跡、出自、マッピングのためのデジタル技術の利用を促進する
  • EU 認証マークとしてEU 環境技術検証スキームに登録することにより、確かな検証システムを通じたグリーン技術の導入を促進する。

新しい中小企業戦略19 は、中小企業間の循環型産業連携を促進するために、研修、欧州企業ネットワークの下でのクラスター連携に関する助言、欧州資源効率化知識センターを通じた知識移転を基盤としている

欧州産業戦略
#EUIndustrialStrategy

  1. 主要製品価値チェーン

主要なバリューチェーンが直面する持続可能性の課題は、第2章で概説した持続可能な製品政策の枠組みの不可欠な部分を形成する、緊急かつ包括的で協調的な行動を必要としている。これらの行動は、気候非常事態への対応に貢献し、EUの産業戦略や、来るべき生物多様性戦略、農場から食卓まで(ファーム・トゥ・フォーク)戦略、森林戦略にも反映されることになる。部門別行動のガバナンスの一環として、欧州委員会は主要バリューチェーンのステークホルダーと緊密に協力し、サーキュラー型製品の市場拡大の障壁とその障壁に対処する方法を特定する。

3.1. エレクトロニクスとICT

電気・電子機器は、現在の年率2%の成長率で、EUで最も急速に増加している廃棄物の流れの一つであり続けている。EUでは、電子廃棄物の40%未満がリサイクルされていると推定されている20。完全または部分的に機能する製品が、修理ができない、バッテリーが交換できない、ソフトウェアがサポートされなくなった、デバイスに組み込まれた材料が回収されないなどの理由で廃棄された場合、価値が失われる。欧州人の約3人に2人は、性能に大きな違いがないならば、現在使用しているデジタル機器を長く使い続けたいと考えている21

これらの課題に対処するため、欧州委員会は、既存および新規の手段を結集した「サーキュラー・エレクトロニクス・イニシアティブ」を発表する予定である。新しい持続可能な製品政策の枠組みに沿って、このイニシアティブは製品寿命の長期化を促進し、特に以下の行動を含む:

  • エコデザイン指令に基づく携帯電話、タブレット、ラップトップを含む電子機器と ICT に対する規制措置により、エネルギー効率と耐久性、修理可能性、アップグレード性、メンテナンス性、再利用、リサイクル性を考慮した機器の設計を行う。今後のエコデザイン作業計画では、この点についての詳細が示される予定である。プリンタやカートリッジなどの消耗品も、今後6ヶ月以内にこのセクターが野心的な自主的合意に達しない限りは対象となるだろう。
  • 時代遅れのソフトウェアを更新する権利を含む「修理する権利」を実施するための優先分野として、電子機器とICTに焦点を当てる。
  • 共通の充電器の導入、充電ケーブルの耐久性の改善、充電器の購入と新しいデバイスの購入を切り離すためのインセンティブなど、携帯電話や類似のデバイスの充電器に関する規制措置。
  • 古い携帯電話、タブレット端末、充電器を返却または売却するための EU 全体の引取スキームのオプションを検討することを含め、廃電気・電子機器22 の回収・処理を改善する。
  • 電気・電子機器に含まれる有害物質の規制に関する EU 指令23 を見直し、REACH24 やエコデザインなどの関連法 律との整合性を高めるためのガイダンスを提供する。

3.2. 電池と車両

持続可能な電池と自動車は、将来のモビリティを支えるものである。エレクトロモビリティのための新たな電池バリューチェーンの持続可能性の強化を迅速に進め、すべての電池の循環可能性を高めるために、欧州委員会は今年、電池に関する新たな規制枠組みを提案する予定である。本立法案は、電池指令25の評価と電池同盟の活動をベースに、以下の要素を考慮したものである:

  • リサイクル内容に関する規則と、すべての電池の回収率とリサイクル率を向上させる方策は、貴重な材料の回収を確実にし、消費者にガイダンスを提供する。
  • 代替品が存在する場合には、使用を段階的に削減することを視野に入れて、非充電式電池に対処すること。
  • 例えば電池製造のカーボンフットプリント、原材料の倫理的調達、供給の確保、再使用・リサイクル・転用の促進などを考慮した電池の持続可能性と透明性の要件。

また、欧州委員会は、設計課題と使用済み自動車の処理とを結びつけたり、特定の部品材料のリサイクル材含有量の義務化に関するルールを検討したり、リサイクル効率を向上させたりすることで、よりサーキュラーなビジネスモデルを促進することを目的として、使用済み自動車に関するルール26の改正を提案する予定である。さらに、委員会は、廃油の回収と環境に配慮した処理を確保するための最も効果的な措置を検討する。

より広い視野では、次の「持続可能でスマートなモビリティに関する欧州の包括的戦略」では、循環型経済への移行との相乗効果を高めるために、特に製品をサービスとして提供するソリューションを適用して、バージン材の消費量を削減し、持続可能な代替輸送燃料を使用し、インフラと車両使用を最適化し、乗員率と積載率を高め、廃棄物と汚染を排除することを検討している。

 

3.3. パッケージング

包装に使用される材料の量は継続的に増加しており、2017年の欧州における包装廃棄物は、住民1人当たり173kgと過去最高を記録した。2030年までにEU市場に出回るすべての包装材が経済的に実行可能な方法で再利用またはリサイクル可能であることを確実にするために、欧州委員会は指令94/62/EC27を見直し、EU市場で認められる包装材の必須要件を強化するとともに以下のような点に焦点を当てて他の対策を考慮する:

  • 目標の設定やその他の廃棄物防止対策を含め、(過剰な)包装・包装廃棄物の削減。
  • 特定の用途、特に代替の再利用可能な製品やシステムが可能な場合や、消費財が包装なしで安全に取り扱える場合には、一部の包装材料の使用制限を検討することを含め、包装の再利用とリサイクル性のための設計を推進する。
  • 使用される材料やポリマーの数を含め、包装材料の複雑さを減らすことを検討する。

第4章1項で言及した分別収集システムの調和を図る取り組みの一環として、欧州委員会は、発生源での包装廃棄物の正しい分別を容易にするEU全体の表示の実現可能性を評価する。

欧州委員会はまた、PET以外の食品接触プラスチック材料を材料を安全にリサイクルするためのルールを制定する。

欧州委員会はまた、公共の場で飲用可能な水道水を利用できるようにするための飲料水指令の要件の実施を厳しく監視し、支援する。それはボトル水への依存を引き下げ、包装廃棄物を防止する。

 

3.4. プラスチック

EUの「循環型経済におけるプラスチック戦略28」は、深刻な公共の関心事である課題に対応するための包括的なイニシアチブへの動きを開始した。しかし、プラスチックの消費量は今後20年で倍増すると予想されているため、欧州委員会は、このどこにでもあるユビキタスな素材がもたらす持続可能性の課題に対処するために、さらに的を絞った対策を講じるとともに、第7章で述べたように、世界レベルでのプラスチック汚染に取り組むための協調的なアプローチを引き続き推進していく。

再生プラスチックの利用を拡大し、プラスチックのより持続可能な利用に貢献するために、欧州委員会は、包装材、建設資材、車両のような主要製品に対して、再生プラスチックの含有量と廃棄物削減措置の義務的要件を提案する。また、サーキュラー・プラスチック・アライアンスの活動も考慮に入れている。

プラスチックごみを減らすための対策に加えて、欧州委員会は、環境中のマイクロプラスチックの存在に次のように対処する:

  • 意図的に添加されたマイクロプラスチックを制限し、欧州化学物質庁の意見を考慮してペレットに取り組む。
  • 製品のライフサイクルのすべての関連する段階でのマイクロプラスチックの捕捉量を増加させるための措置を含む、マイクロプラスチックの意図しない放出に関する表示、標準化、認証、規制措置を開発する。
  • 意図せずに放出されたマイクロプラスチック、特にタイヤや繊維製品からのマイクロプラスチックの測定方法をさらに開発し、整合化し、海水中のマイクロプラスチック濃度に関する整合化されたデータを提供する。
  • 環境、飲料水、食品中のマイクロプラスチックのリスクと発生に関する科学的知識のギャップを埋める。

さらに、欧州委員会は、以下に関する政策の枠組みを策定することで、新たな持続可能性の課題に取り組む:

  • バイオベースの原料の使用が化石資源の使用量を削減するだけでなく、真の環境利益をもたらしているところでの評価に基づくバイオベースプラスチックの調達、表示、使用。
  • 生分解性または堆肥化可能なプラスチックが環境に有益であるかどうか、また、そのような使用のための基準に基づいての使用。製品が「生分解性」または「堆肥化可能」と表示されたことにより消費者が誤解しポイ捨てをし、不適切な環境条件や分解のための不十分な時間のためにプラスチックごみとなったり汚染を引き起こすようなことにならないことを確かにすることを目的とする。

欧州委員会は、特に単一市場を保護しつつ、海洋プラスチック汚染の問題に対処するために、単一使用プラスチック製品29と漁具に関する新しい指令を以下の点に留意して遅滞なく確実に施行する:

  • 指令の対象となる製品の調和のとれた解釈。
  • タバコ、飲料カップ、ウェットティッシュなどは製品のラベル表示をしボトルのキャップが本体からはずれて捨てられることを防ぐため紐をつける。
  • 製品中のリサイクル含有量の測定ルールを初めて開発する。

3.5. 繊維製品

繊維製品は、一次原材料と水の使用量が、食品・住宅・輸送に次いで4番目に多く、GHG(温室効果ガス)排出量では5番目に多いカテゴリーである30。世界の全繊維製品のうち、新しい繊維製品にリサイクルされているのは1%未満と推定されている31。主に中小企業で構成されているEU の繊維産業は、長い間のリストラの後、回復し始めている。ただし、EU内で生産されている衣料品のうち、他の場所で生産されている衣料品の割合は金額で60パーセントである。

繊維製品のバリューチェーンの複雑さに鑑み、欧州委員会はこれらの課題に対応するため、産業界やその他のステークホルダーからの意見に基づき、繊維製品に関する包括的なEU戦略を提案する。この戦略は、繊維産業における産業競争力とイノベーションの強化、繊維のリユース市場を含む持続可能でサーキュラーな繊維製品のEU市場の拡大、(最新の流行を採り入れながら低価格に抑えた衣料品を短いサイクルで世界的に大量生産・販売する)ファストファッションへの対応、新しいビジネスモデルの推進を目指すものである。これは以下のものを含む包括的な対策セットによって達成される:

  • 第2章で述べた新しい持続可能な製品の枠組みを繊維製品に適用し、繊維製品が循環性に適合していることを確実にするためのエコデザイン対策を開発すること、二次原材料の利用を確保すること、有害化学物質の存在に取り組むこと、企業や個人消費者が持続可能な繊維製品を選択し、再利用や修理サービスを容易に利用できるようにすることなどを含む:
  • EUにおける持続可能で循環型のテキスタイルためにビジネスと規制環境を改善すること。特に、製品をサービスとして提供するモデル、循環型素材、生産プロセスへのインセンティブと支援を提供し、国際協力を通じた透明性を高める。
  • 2025年までに加盟国が確保しなければならない繊維廃棄物の高レベルの分別回収を達成するためのガイダンスを提供する。
  • 繊維製品の選別、再利用、リサイクルを促進する。イノベーション、産業利用を奨励、生産者責任の拡大などの規制措置を通じて。

 

3.6. 建築・建物

建築環境は、経済の多くの部門、地域の雇用、生活の質に大きな影響を与えている。膨大な量の資源を必要とし、抽出された材料の約50%を占めている。建設部門は、EU全体の廃棄物発生量の35%以上を占めている32。材料の抽出、建設製品の製造、建築物の建設、改修からの温室効果ガス排出量は、国内の温室効果ガス総排出量の 5~12%と推定されている33。材料効率の向上により、これらの温室効果ガス排出量の80%を削減できる可能性がある34

材料効率の向上と気候への影響の低減の可能性を引き出すために、欧州委員会は、持続可能な建築環境のための新たな包括的戦略を立ち上げる予定である。この戦略により、気候、エネルギー、資源効率、建設・解体廃棄物の管理、アクセシビリティ、デジタル化、スキルなどの関連政策分野の一貫性が確保される。それは、以下によって、建物のライフサイクル全体を通して循環性の原則が促進される:

  • 安全性と機能性を考慮に入れた特定の建造物のリサイクル材含有要件の導入の可能性を含め、建造物規則35 の改正の文脈で建造物の持続可能性の履行に取り組む。
  • 建築物設計のためのサーキュラーエコノミー原則に沿って、建築物の耐久性と適応性を向上させるための対策を推進36 し、建築物のためのデジタルログブック(日誌)を開発する。
  • Level(s)37を利用して、公共調達におけるライフサイクルアセスメントとEUの持続可能な金融の枠組みを統合し、炭素削減目標の設定の妥当性と炭素貯蔵の可能性を探る。
  • 建設・解体廃棄物とその材料固有の分画についてEUの法律で設定されている材料回収目標の改定を検討する。
  • 封鎖土の削減、放棄された、あるいは汚染されたブラウンフィールドの再生、掘削された土の安全で持続可能な循環型利用を促進するためのイニシアチブを推進する。

さらに、欧州グリーンディールで発表された、EUにおけるエネルギー効率の大幅な改善につながる「リノベーショ ンの波」イニシアティブは、サーキュラーエコノミー原則に沿って実施され、特にライフサイクル・パフォーマンスの最適化と建築物の寿命の延長が図られる。建設・解体廃棄物の回収目標の見直しの一環として、欧州委員会は、増加する廃棄物の流れを生み出す断熱材に特に注意を払う。

04-30

3.7. 食品、水、栄養素

サーキュラー・エコノミー循環型経済は、資源の採取と利用が環境に与える負の影響を大幅に軽減し、欧州の生物多様性と自然資本の回復に貢献することができる。生物資源はEUの経済にとって重要な投入物であり、将来的にはさらに重要な役割を果たすことになるだろう。欧州委員会は、バイオエコノミー戦略と行動計画に沿った行動を含め、再生可能なバイオベースの材料の持続可能性を確保することを目指す。

食品のバリューチェーンは、資源と環境への大きな圧力をもたらしているが、EUでは、生産される食品全体の20%が失われたり、廃棄されたりしていると推定されている。したがって、持続可能な開発目標(SDGs)に沿って、また第4章1項で言及した指令2008/98/EC38の見直しの一環として、欧州委員会は、食品バリューチェーンを包括的に扱うことになる、来るべきEU農地から食卓への戦略の下での重要な行動として、食品廃棄物削減の目標を提案する予定である。

欧州委員会はまた、食品の流通と消費の持続可能性を高めるための具体的な措置も検討する。持続可能な製品イニシアティブの下で、欧州委員会は、外食産業における単一用途の包装、食器、カトラリー(家庭用刃物類, 食卓用金物)を再利用可能な製品で代替するための再利用に関する立法イニシアティブの範囲を決定するための分析作業に着手する予定である。

新しい水再利用規則は、農業における水の再利用への循環的アプローチを奨励する。欧州委員会は、工業プロセスを含め、水の再利用と効率化を促進する。

さらに、欧州委員会は、栄養素のより持続可能な利用を確保し、回収された栄養素の市場を活性化することを目的として、統合栄養素管理計画を策定する。欧州委員会はまた、廃水処理や下水汚泥に関する指令の見直しを検討し、藻類などの自然の養分除去手段を評価する。

 

  1. 廃棄物を減らし、価値を高める

4.1. 廃棄物防止とサーキュラリティを支える廃棄物政策の充実

EUや各国レベルでの取り組みにもかかわらず、廃棄物の発生量は減少していない。EUのすべての経済活動から発生する廃棄物の年間発生量は25億トン、つまり国民一人当たり年間5トンに達し、国民一人当たり平均約2分の1トンの家庭廃棄物を排出している。廃棄物発生量を経済成長から切り離すには、バリューチェーン全体から各家庭における取り組みまでかなりの努力が必要となる。

持続可能な製品政策を展開し、それを具体的な法律(第2章と第3章を参照)に変換することが、廃棄物防止を前進させる鍵となる。さらに、私たちは、EUの廃棄物に関する法律を構築し、さらに強化し、より良い形で実施する必要がある。

EUの廃棄物法は、1970年代以降、EUの資金の支援を受けて廃棄物管理の大幅な改善を推進してきた。しかし、循環型経済とデジタル時代に適合するように、継続的に近代化する必要がある。第3章で説明したように、廃棄物を防止し、リサイクル材含有率を高め、より安全でクリーンな廃棄物の流れを実現し、質の高いリサイクルを確保することを目的として、電池、包装、使用済み自動車、電子機器に含まれる有害物質に関するEUの法律の改正が提案される。

さらに、欧州委員会は、指令2008/98/ECの見直しに関連して、廃棄物防止に関するより広範な対策の一環として、特定の廃棄物の流れについての廃棄物削減目標を提示する。欧州委員会はまた、最近採択された生産者責任拡大スキームの要件の実施を強化し、インセンティブを提供し、廃棄物リサイクルにおける情報や優良事例の共有を奨励する。これはすべて、廃棄物の総発生量を大幅に削減し、2030年までに家庭廃棄物の残存量(リサイクルされていない)を半減させることを目的としている。

質の高いリサイクルは、廃棄物の効果的な分別収集に依存している。市民、企業、公共機関が廃棄物をよりよく分別できるようにするために、欧州委員会は、廃棄物分別収集システムの調和を図ることを提案する。特に、この提案では、都市部から最果ての地域までの地域や地域の状況を考慮しながら、分別収集モデルの最も効果的な組み合わせ、公共スペースを含めた分別収集ポイントの密度とアクセスのしやすさ、に取り組むことになる。消費者の関与を促進するその他の側面、例えば、共通のごみ箱の色、主要な廃棄物の種類に調和したシンボル、製品ラベル、情報キャンペーン、経済的な手段なども考慮する。また、製品、特に食品接触材料として使用されることを目的とした収集廃棄物の品質を向上させることを保証するために標準化と品質管理システムの使用を追求する。

廃棄物管理において加盟国を支援するためには、さらなる努力が必要である。加盟国の半数は、家庭廃棄物の50%をリサイクルするという2020年の目標を遵守していないリスクにさらされている。政策改革を推進するために、欧州委員会は循環型経済と廃棄物に関するハイレベルな交流会を開催し、EUの資金を最大限に活用するために加盟国、地域、都市との協力を強化する。必要に応じて、欧州委員会は執行権も行使する。

4.2. 毒性のない環境におけるサーキュラリティ循環性の強化

EUの化学物質政策と法律、特にREACHは、市民と環境をより良く保護するために、有害物質の漸進的な代替を通じた「安全な設計の化学物質」への移行を奨励している。しかし、リサイクル原料中に禁止物質が残留している場合など、二次原料の安全性が損なわれる可能性がある。二次原材料の使用に対して信頼性を高めるために、欧州委員会は以下を行う:

  • 偶発的な汚染から生じるものも含め、廃棄物から高品質の選別と汚染物質の除去のための解決法の開発を支援する。
  • リサイクル材料やそれからの製品に含まれる健康や環境に問題をもたらす物質の存在を最小限に抑えるための方法論を開発する。
  • 持続可能な製品政策の枠組みの下での措置や、高懸念物質を含む成形品に関するECHAデータベースとの相乗効果の中で、高懸念物質と特定された物質やその他の関連物質、特に慢性的な影響を及ぼす物質39、サプライチェーンに沿って存在する回収作業のための技術的な問題を引き起こす物質に関する情報を追跡・管理するための調和のとれたシステムを段階的に開発し、廃棄物中のそれらの物質を特定するために、産業界と協力する。
  • 科学的・技術的進歩とストックホルム条約の下での国際的義務に沿って、残留性有機汚染物質(POPs)規則の付属文書を改正することを提案する。
  • クリーンなリサイクルの流れを維持するために、必要に応じ化学物質と混合物の分類とのさらなる整合化を含め、有害廃棄物の分類と管理を改善する。

次期の持続可能性のための化学物質戦略は、化学物質、製品、廃棄物法の間のインターフェースにさらに取り組み、循環型経済との相乗効果を強化する予定である。

4.3. EUの二次原料市場の機能的な創出

二次原料は、安全性のみならず、性能、入手可能性、コスト等の理由から、一次原料との競合に おいて多くの課題を抱えている。本計画で予定されている多くの行動、特に製品中のリサイクル含有量の要件を導入することは、二次原材料の需要と供給のミスマッチの防止とEUにおけるリサイクル分野の円滑な拡大を確保することに貢献する。さらに、二次原料のための十分に機能する国内市場を確立するために、欧州委員会は以下のことを行う:

  • 加盟国の改定された廃棄物最終処分状況と製品別規則の適用状況を監視に基づき、特定の廃棄物の流れについて、EU全体の廃棄物最終処分基準をさらに発展させる余地を評価し、各国の廃棄物最終処分基準と副産物基準を調和させるための協力に関する国境を越えたイニシアティブを支援する。
  • 国内、欧州、国際レベルでの既存の標準化作業の継続的な評価に基づき、標準化の役割を強化する。
  • 高懸念物質の使用が認可要件の対象となる場合には、成形品中の高懸念物質の使用制限を、国境での取締り の改善を継続しつつ、適時に利用する。
  • 主要な二次材料のための市場観察所の設置の実現可能性を評価する。

 

4.4. EUからの廃棄物輸出への対応

廃棄物の世界市場は大きく変化している。過去10年間で、何百万トンもの欧州廃棄物が、適切な廃棄物処理を十分に考慮することなく、EU域外の国々に輸出されてきた。多くの場合、廃棄物の輸出は、輸出先の国の環境や健康に悪影響を及ぼし、EUのリサイクル産業にとっては資源や経済的な機会を失う結果となっている。一部の第三国が導入した最近の輸入規制は、EUが外国の廃棄物処理に過度に依存していることを露呈しているが、同時に、EU内の廃棄物の処理能力を高め、廃棄物に付加価値を与えるようにリサイクル産業を動員している。

こうした動きを踏まえ、また、廃棄物の違法出荷が依然として懸念材料であることを考慮して、欧州委員会は、EUが廃棄物の課題を第三国に輸出しないようにすることを目的とした行動をとる。二次材料の製品設計、品質、安全性、市場の拡大に関する行動は、「EUでリサイクルされた」ことを質の高い二次材料のベンチマークにすることに貢献する。

EUにおける廃棄物の再利用とリサイクルの準備を促進することは、廃棄物出荷に関するEUルールの徹底的な見直しによって強化される40。見直しはまた、第三国で環境や健康に有害な影響を与える廃棄物や、または、仕向国、問題のある廃棄物の流れ、懸念や違法な出荷に対抗する法執行の原因となることに焦点を当てEU内で国内処理できうる廃棄物の輸出を制限することを目的としている。欧州委員会はまた、特に不法輸出と不法取引の分野における環境犯罪に対抗し、廃棄物の出荷規制を強化し、これらの国における廃棄物の持続可能な管理を改善するための多国間、地域、二国間レベルでの措置を支援する。

 

  1. サーキュラリティを人、地域、都市のために機能させる

2012年から2018年の間に、EUにおける循環型経済に関連した雇用数は5%増加し、約400万人に達した41。循環型経済は、労働者がグリーン移行で必要とされるスキルを身につけるならば、雇用創出にプラスの純効果をもたらすことが期待できる。循環型経済と関連して雇用創出の先駆者である社会経済の可能性は、特に欧州社会権の柱42 を実施するための行動計画の下で、グリーン移行を支援し、社会的包摂を強化するという相互利益によって、さらに活用されることになるだろう。

欧州委員会は、技能アジェンダの更新、大規模なマルチステークホルダー・パートナーシップによる技能のための協定の立ち上げ、社会経済のための行動計画などの文脈においてのことも含め、技能と雇用創出を支援する手段が、サーキュラーエコノミーへの移行を加速させることにも貢献することを確実にする。教育訓練システム、生涯学習、社会イノベーションへのさらなる投資は、欧州社会基金プラスの下で推進される。

欧州委員会はまた、地域レベルで必要な投資を支援し、すべての地域が移行の恩恵を受けられるようにするために、EUの金融手段や基金の可能性を活用していく。啓発、協力、能力開発に加えて、コヒーショ ン・ポリシー(結束政策)資金は、各地域が産業構造とバリューチェーンを改善するため循環型経済戦略を実施するのを支援する。サーキュラーエコノミーの問題解決策は、最外縁の地域や島嶼部に対しては特別仕立てのものになろう。なぜならば、資源輸入への高い依存度、観光業により加速される廃棄物の発生量、廃棄物の輸出、などの事情があるからである。欧州グリーンディール投資計画と InvestEU の一環として提案されている「公正な移行メカニズム(Just Transition Mechanism) 」43 は、循環型経済に焦点を当てたプロジェクトを支援することができる。

提案されている欧州都市イニシアチブ、インテリジェント・シティ・チャレンジ・イニシアチブ、サーキュラー都市・地域イニシアチブは、都市に対して重要な支援を提供する。循環型経済は、グリーンシティ・アコードの優先分野の一つとなる。

欧州循環型経済ステークホルダー・プラットフォーム(European Circular Economy Stakeholder Platform)は、関係者が情報を交換する場であり続ける。

 

  1. 横断的行動

6.1. 気候中立性の前提条件としての循環性

気候中立性を達成するためには、循環性と温室効果ガス排出量削減の相乗効果をさらに高める必要がある。欧州委員会は以下を行う:

  • サーキュラリティが気候変動の緩和と適応に与える影響を体系的に測定する方法を分析する。
  • EUおよび各国レベルでの温室効果ガス排出削減における循環型経済のメリットを把握するためのモデル化ツールを改善する。
  • 将来の国家エネルギー・気候計画の改定、及び必要に応じて他の気候政策において、サーキュラリティの役割を強化することを促進する。

温室効果ガスの排出削減に加えて、気候の中立性を達成するためには、炭素を大気中から除去し、放出されることなく経済に利用し、より長い期間貯蔵することが必要である。炭素の除去には、生態系の回復、森林保護、植林、持続可能な森林管理、炭素農法による隔離などの自然をベースにしたものと、例えば、木材建築における長期貯蔵、建材の鉱物化などの製品における炭素の再利用と貯蔵などの循環性の向上をベースにしたものがある。

生物多様性の目標を十分に尊重した上で、炭素除去と炭素の循環性の向上を促進するために、欧州委員会は、炭素除去の真正性を監視・検証するために堅牢で透明性の高い炭素会計に基づいた炭素除去の認証のための規制的枠組みの開発を検討する。

 

6.2. 経済学を正しく理解する

グリーン・トランジションを加速させるためには、より持続可能な生産と消費のパターンに向けて資金調達を誘導するための慎重でありながら断固とした措置が必要である。欧州委員会はすでに、この点に関して一連の取り組みを行っており、EU分類規則(EU Taxonomy Regulation)44の下での循環型経済の目標の統合や、金融商品のエコラベル基準に関する準備作業の実施などを行っている。循環型経済金融支援プラットフォームは、サーキュラー・インセンティブ、キャパシティ・ビルディング、金融リスク管理について、プロジェクト推進者にガイダンスを提供し続ける。現行の枠組みの下での中小企業保証や2021年時点でのInvestEUなどのEUの金融商品は、循環型経済を支援するために民間資金を動員している。欧州委員会はまた、リサイクルされていないプラスチック包装材の廃棄物量に基づいて、EU予算のための新たな独自財源を提案している。さらに、欧州委員会は以下のことを行う:

  • 非財務報告指令の今後の見直しにおいて、企業による環境データの開示を強化する。
  • 財務データを循環型経済のパフォーマンスデータで補完する環境会計原則を開発するためのビジネス主導のイニシアティブを支援する。
  • コーポレートガバナンスの枠組みを改善することにより、事業戦略への持続可能性の基準の統合を奨励する。
  • ヨーロピアン・セメスター(欧州半期)の再焦点化の一環として、また、環境・エネルギー分野における国家支援ガイドラインの近々の改訂に関連して、循環型経済に関連した目標を反映させる。
  • 廃棄物埋立税や焼却税を含む環境税など、よく設計された経済手段の広範な適用を引き続き奨励し、加盟国が付加価値税(VAT)税率を使用して、最終消費者、特に修理サービスを対象とした循環型経済活動を促進することを可能にする45

6.3. 研究、イノベーション、デジタル化を通じた移行の推進

欧州の企業は、サーキュラー・イノベーションのフロントランナーである。欧州地域開発基金、スマート・スペシャライゼーション、LIFE、ホライゾン・ヨーロッパを通じて、民間のイノベーション資金を補完し、市場の問題を解決することを目的としたイノベーションサイクル全体を支援する。ホライゾン・ヨーロッパは、サーキュラー目標を達成するためのデジタルツールの役割を念頭に置きながら、化学物質のリサイクルの可能性を探ることを含め、指標やデータの開発、新しい素材や製品の開発、「安全な設計による」アプローチに基づく有害物質の代替や排除、サーキュラー・ビジネスモデル、新しい生産やリサイクル技術の開発を支援していく。マリー・キュリー・アクションは、この分野の研究者のスキル開発、トレーニング、流動性の向上を支援することができる。

デジタル技術は、製品、部品、材料の移動を追跡し、得られたデータに安全にアクセスできるようにすることができる。第2章で触れたスマート・サーキュラー・アプリケーションのヨーロッパのデータ空間は製品パスポート、リソース・マッピングや消費者情報などのアプリケーションやサービスを駆動するための構造と管理システムを提供する。

欧州イノベーション・技術研究所は、知識・イノベーション共同体(KICs)内の、大学や研究機関、企業や中小企業、と連携してサーキュラー経済に関するイノベーションの取り組みを調整する。

知的財産に関する制度は、デジタル時代とグリーン移行に適合し、EU企業の競争力を支えるものでなければならない。欧州委員会は、知的財産が循環型経済と新しいビジネスモデルの出現を可能にする重要な要素であり続けることを確実にするために、知的財産戦略を提案する。

 

  1. グローバルレベルでの取り組みをリードする

EUは、その努力が、公正で気候変動に左右されない(気候中立)、資源効率の高い循環型経済への世界的な移行を促進する場合にのみ、成功することができる。様々な天然資源の利用が一定の地域的、地域的、世界的なしきい値を超えず、環境への影響が惑星の境界線(プラネタリ・バウンダリ)内にとどまるような「安全な運用空間」を定義するための議論を進める必要性が高まっている。

EU 加盟国、南や東欧の最も近い隣国、新興国、世界の主要なパートナーにとって、新しい持続可能なモデルは、欧州の経済アクターとの関係を強化しながら、ビジネスと雇用の機会を開くことになる46

サーキュラー・エコノミー循環型経済への世界的なシフトを支援するために、欧州委員会は以下を行う:

  • 欧州プラスチック戦略を構築し、プラスチックに関する世界的な合意に達するための国際レベルでの取り組みをリードし、プラスチックに関するEUの循環型経済アプローチの導入を促進する。
  • 世界的な循環型経済を推進する上での知識とガバナンスのギャップを特定し、主要経済国を含めたパートナーシップのイニシアティブを推進するために、世界循環型経済アライアンスを提案する。
  • 天然資源利用のための「安全な運用空間」の定義付けの実現可能性を探り、天然資源の管理に関する国際協定の議論を開始することを検討する。
  • グリーン・トランジションとサーキュラーエコノミーの利益を最大化するために、アフリカとのより強固なパートナーシップを構築する。
  • 自由貿易協定がサーキュラーエコノミーの強化された目的を反映していることを確実にする。
  • 西バルカン諸国との加盟プロセスにおいて、また、二国間、地域、多国間の政策対話、フォーラム、環境協定、および加盟前の支援、持続可能な金融に関する国際プラットフォームを含む近隣諸国、開発、国際協力プログラムの文脈において、循環型経済の促進を継続する。
  • 欧州グリーンディール外交や循環型経済ミッションを含む現場出張サービス(アウトリーチ)活動を強化し、EU加盟国と協力して世界的なサーキュラーエコノミーのための調整と共同取組を強化する

                             

  1. 進捗状況のモニタリング

欧州グリーンディールと2020年持続可能な成長戦略47に沿って、欧州委員会はより強い持続可能性の次元を統合するためのヨーロピアン・セメスター・プロセスの再焦点化の一環として、循環型経済への移行を加速するための各国の計画と対策の監視を強化する。

欧州委員会は、循環型経済のためのモニタリングの枠組みも更新する48。新しい指標は、可能な限り欧州の統計に基づいて、この行動計画の重点分野と、循環型経済、気候中立性、汚染ゼロの野心との相互関係を考慮したものとなる。同時に、ホライゾン・ヨーロッパとコペルニクスのデータの下でのプロジェクトは、公式統計にはまだ反映されていない様々なレベルでのアーキュラリティの測定基準を改善する。

また、私たちの生産・消費パターンに関連した物質消費と環境への影響を考慮した消費と物質フットプリントを含む資源利用に関する指標もさらに開発され、EU内外での経済成長と資源利用とその影響からの切り離し(デカップリング)に向けた進捗状況のモニタリングと評価に結び付けられる。

進捗状況のモニタリング

ヨーロッピアン・セメスター(欧州半期) 学期

サホキュラー・エコノミー循環型経済のモニタリング・フレームワーク

資源利用に関する指標

 

  1. 結論

循環型経済への移行は、EU内外で、体系的、深遠かつ変革的なものとなるだろう。それは時に破壊的なものとなるため、公平でなければならない。そのためには、EU、国内、地域、地方、国際など、あらゆるレベルのステークホルダーの連携と協力が必要となる。

したがって、欧州委員会は、EUの機関や団体がこの行動計画を支持し、その実施に積極的に貢献することを求め、加盟国に対し、その野心に照らしてサーキュラーエコノミーの国家戦略、計画、対策を採択または更新することを奨励する。さらに、欧州委員会は、欧州の将来に関する議論のテーマや市民対話の定例テーマにサーキュラーエコノミーを含めることを推奨する。

脚注:

1 https://www.un.org/sustainabledevelopment/sustainable-consumption-production/

2 OECD (2018), Global Material Resources Outlook to 2060.

3 World Bank (2018), What a Waste 2.0: A Global Snapshot of Solid Waste Management to 2050.

4 COM(2019) 640 final.

5 Cambridge Econometrics, Trinomics, and ICF (2018), Impacts of circular economy policies on the labour market.

6 COM(2015) 614 final.

7 SWD(2020) 100.

8 https://op.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/4d42d597-4f92-4498-8e1d-857cc157e6db

9 Directive 2009/125/EC of the European Parliament and of the Council of 21 October 2009 establishing a framework for the setting of ecodesign requirements for energy-related products, OJ L 285, 31.10.2009, p. 10.

10 Regulation (EC) No 66/2010 of the European Parliament and of the Council of 25 November 2009 on the EU Ecolabel, OJ L 27, 30.1.2010, p. 1.

11 https://ec.europa.eu/environment/gpp/eu_gpp_criteria_en.htm

12 https://ec.europa.eu/environment/eussd/smgp/PEFCR_OEFSR_en.htm

13 Directive (EU) 2019/882 of the European Parliament and of the Council of 17 April 2019 on the accessibility requirements for products and services, OJ L 151, 7.6.2019, p. 70.

14 COM (2020) 67 final.

15 Directive (EU) 2019/771/EC of the European Parliament and of the Council of 20 May 2019 on certain aspects concerning contracts for the sale of goods, OJ L 136, 22.5.2019, p. 28.

  1. COM(2020) 102.
  2. Directive 2010/75/EU of the European Parliament and of the Council of 24 November 2010 on industrial emissions (integrated pollution prevention and control),OJ L 334, 17.12.2010, p. 17.
  3. COM(2018) 763 final.
  4. COM(2020) 103.

20 https://ec.europa.eu/eurostat/tgm/table.do?tab=table&init=1&language=en&pcode=t2020_rt130&plugin=1

21 Special Eurobarometer 503, January 2020.

22 Directive 2012/19/EU of the European Parliament and of the Council of 4 July 2012 on waste electrical and electronic equipment (WEEE), OJ L

197, 24.7.2012, p. 38.

23 Directive 2011/65/EU on the restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment, OJ L 305, 21.11.2017, p. 8

24 Regulation (EC) No 1907/2006 of the European Parliament and of the Council of 18 December 2006 concerning the Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals (REACH) and establishing a European Chemicals Agency, OJ L396, 30.12.2006, p. 1.

25 Directive 2006/66/EC of the European Parliament and of the Council of 6 September 2006 on batteries and accumulators and waste batteries and accumulators and repealing Directive 91/157/EEC, OJ L 266, 26.9.2006, p. 1.

26 Directive 2000/53/EC of the European Parliament and of the Council of 18 September 2000 on end-of life vehicles, OJ L 269, 21.10.2000, p. 34.

27 European Parliament and Council Directive 94/62/EC of 20 December 1994 on packaging and packaging waste, OJ L 365 31.12.1994, p. 10.

28 COM(2018) 28 final.

29 Directive (EU) 2019/904 of the European Parliament and of the Council of 5 June 2019 on the reduction of the impact of certain plastic products on the environment, OJ L 155, 12.6.2019, p. 1.

30 EEA Briefing report Nov 2019.

31 Ellen McArthur Foundation (2017), A new Textiles Economy

32 Eurostat data for 2016.

33 https://www.boverket.se/sv/byggande/hallbart-byggande-och-forvaltning/miljoindikatorer—aktuell-status/vaxthusgaser/

34 Hertwich, E., Lifset, R., Pauliuk, S., Heeren, N., IRP, (2020), Resource Efficiency and Climate Change: Material Efficiency Strategies for a Low-CarbonFuture.

35 Regulation (EU) No 305/2011 of the European Parliament and of the Council of 9 March 2011 laying down harmonised co nditions for themarketing of construction products and repealing Council Directive 89/106/EEC, OJ L 88, 4.4.2011, p. 5.

36 https://ec.europa.eu/docsroom/documents/39984

37 https://ec.europa.eu/environment/eussd/buildings.htm

訳注 LEVEL(S): A GUIDE TO EUROPE’S NEW REPORTING FRAMEWORK FOR SUSTAINABLE BUILDINGS

38 Directive 2008/98/EC of the European Parliament and of the Council of 19 November 2008 on waste and repealing certain Directives, OJ L 312, 22.11.2008, p. 3.    

39 As identified under Regulation (EC) 1907/2006 and Regulation (EC) 1272/2008 of the European Parliament and of the Council of 16 December 2008 on classification, labelling and packaging of substances and mixtures, amending and repealing Directives 67/548/EEC and 1999/45/EC, and amending Regulation (EC) No 1907/2006, OJ L 353, 31.12.2008, p. 1.

 

40 Regulation (EC) No 1013/2006 of the European Parliament and of the Council of 14 June 2006 on shipments of waste, OJ L 190, 12.7.2006, p. 1.

 

41 https://ec.europa.eu/eurostat/tgm/refreshTableAction.do?tab=table&plugin=1&pcode=cei_cie010&language=en

 

42 COM(2020) 14 final

 

43 https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/fs_20_39

    

44 The EU classification system for environmentally sustainable activities: https://eur-lex.europa.eu/legal-content/en/ HIS/?uri=CELEX%3A52018PC0353

 

45 Subject to the outcome of the on-going legislative procedure.

 

46 SWD(2020) 100.

 

47 SWD(2020) 100.

 

48 https://ec.europa.eu/eurostat/web/circular-economy/indicators/monitoring-framework

 

© 欧州連合、2020年

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