Additive Manufacturing of Recycled Plastic

Additive Manufacturing of Recycled Plastic

12月17日のCE-MVC研究会メンバーミーティングで、八尾先生、徳満先生、高取さんのお話を伺い、プラスチックのマテリアル・リサイクルの可能性が思った以上に大きいことを実感しました。
プラスチックは素人である私なりにお話をまとめると、
① PE,PP等のオレフィン系樹脂の劣化因子は紫外線による分子鎖切断や酸化などの化学的劣化ではなく、高分子群の絡み合いがほどけていく物理的劣化であり、それを回復する処置を行うことによりバージンとほぼ同等の特性を回復できる。その際マトリックスさえ復旧できれば混合物も大きな問題にはならない可能性がある。
② たとえはポリオレフィンの弱点であるガスパリア性の獲得のために異種プラスチックと多層化した主として食品包装用の分別不能な多層プラスチックも適切な相溶材の開発で、バージン並みの強度の再生プラにすることも可能である。
③ プラスチックが多方面に使用されているそれぞれの最適化の製造ノーハウを金属材料科学のように共有化できれば、再生プラスチックにおいてもバージンで出せる特性を出すことは可能である。
ということになると感じました。
従来のプラスチックのマテリアルリサイクルは、バージンプラの製造ノーハウの知識化が行われない状態で、その知識なしでプラスチックの可塑性に頼った再生を行っているためにあたかもプラスチックのマテリアルリサイクルには性能的限界があるかのような謝った常識になっているのではないのでしょうか。
また、講演の中で、ペレット化の段階で物理的劣化を回復できれば、そのペレットを原料とすることでその後の射出成型にかけてもバージンとほぼ同等の特性が出せるとの話がありました。これはリサイクル企業が、物理損傷回復処置ペレットを製造・販売すれば、上流に対して新たな樹脂提供企業になりうるということを意味していると思います。

つまり、プラスチックはリサイクルで処理するものではなく、石油精製工程の倍プロダクトではなく、循環資源をベースにしたあらたな樹脂・コンパウンドの提供者になりるということです。

となと、そのシンボリックな取り組みは何か、と考え至ったのが表題のAM(additive manufacturing) 原料としてのリサイクルプラからの粉末/フィラメントの提供です。
ということで、そのような取り組みが世界でどのくらい試みられているかを調べてみました。いかにそれを列挙します。

https://www.hackster.io/news/this-3d-printer-can-work-directly-with-recycled-plastic-2b061cc2e2ac
ハードウエア・コミュニティのネットワーカーを目指しているインドのhacksterではリサイクルしたPP,HDPEによるAMを試みでいる。粉砕して加熱硬化造形タイプのAMにかけているようだが、難しく入口だとしている。

https://blogthinkbig.com/ekocycle-cube-the-3d-printer-that-uses-recycled-plastic-bottles
3Dプリンタメーカ3D systemsは使用済みペットボトルを原料にしたフィラメントを使用できる3Dプリンタ「EKOCYCLE Cube」を2014年に発売しており、それがblogに引用されている。                    ちなみに日本語の紹介も https://fabcross.jp/news/2014/06/20140620_ekocycle_cube.html にあった。

https://3dprintingindustry.com/news/lancashire3d-launches-recycled-plastic-filament-range-for-3d-printers-163468/
英国のLancashire3Dは2019年から“Eco Responsible 3D Printing Studio”として100% recycleのPET, 64%recycleのABSのフィラメントの提供を始めている。

https://www.3dnatives.com/en/recycling-plastic-to-3d-print-furniture-in-cities/
ギリシャではコカ・コーラが主導する”Zero waste future”の一環として、3D printed street furnitureが動いている。https://vimeo.com/311304894

https://all3dp.com/2/3d-printing-sustainability-solving-the-plastic-trash-crisis/
Duquesne Universityでは、生分解性であるPLAのリサイクル品からAMの原料を得ようとしており、そのための適切な分級、混合、研磨などを研究している。

https://waag.org/en/article/3d-printing-recycled-plastic
ノルウェーのwaagはそのコモン・ラボの取り組みの中で、リサイクルしたプラスチックからの3D用フィラメントの作成に取り組んでいる。

https://www.betterworldsolutions.eu/3d-printing-with-recycled-plastic/
オランダのLaura Kraussさんのリサイクルプラスチックからフィラメントを作成してAMに用いたYoutubeを紹介している。

紹介されている例では、廃棄されたミックスプラをそのまま用いて加熱押出でフィラメントにし、押出体積法でAMを行っているものが多く、製造技術や材料加工としての側面より環境アピールの要素が強いと思われます。
今回のミーティングでの講演の内容を踏まえねならば、このような環境バフォーマンスにとどまることなく、新たな製造技術としてのAMに適合できる粉体やフィラメントをリイクルプラスチックから得ることも可能であり、それを通じてプラスチックのマテリアル・リサイクルがバージンに劣らない性能を発揮しうることを世の中にアピールできる可能性があると思われます。
AMの装置製造企業、そのためのプラスチック・フィラメント等の提供企業、リサイクル・プラスチック処理企業と新たなリサイクルド・プラスチックの機能回復処理技術開発が共同してこの新たな領域を切り開いて、世界的な知財の領導を図ってはいかがでしょうか。

(文責 原田幸明)

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